反日デモによる日本企業の損害は、数十億円から100億円にのぼるという。デモの標的となったパナソニックの青島工場では、暴徒化した群衆が工場内に乱入。機械類を破壊し、火を放った。「日本は中国から出ていけ!」と叫ぶデモ隊の若者。だが彼らは、中国の経済発展を日本が担っていたことなど知る由もない。

781028日、松下電器・茨木工場で日中の”両巨頭”が顔を合わせた。平和友好条約批准のために来日していた鄧小平副総理(当時)が、開口一番「あなたは日本では経済の神様といわれていますね。中国の近代化を手伝ってくれませんか」と訴えると、松下幸之助は「21世紀は日本や中国などアジア繁栄の時代。大きな視野で中国の近代化に協力しましょう」と、にこやかに応じた。

幸之助の時代から現在に至るまで、松下電器=パナソニックは中国であらゆる製品を生産し、多数の中国人を雇用してきた。パナソニックばかりではない。いま中国に進出している日本企業は約2万2千社にのぼり、直接投資額は累計で約7兆円に達する。そして、日本企業は直接雇用で150万人、間接雇用も合わせれば1千万人の中国人を雇用しているのだ。中国通の評論家・宮崎正弘氏は、中国の経済発展を支えてきたのは日本の技術であるのは間違いない、と断言する。

「新日鉄が宝山製鉄にテコ入れしたおかげで、屑鉄しか作れなかった中国が自動車の鋼板も作れるようになった。ビルの建材であるH鋼やL鋼などの技術でも日本は中国に寄与してきた。中国はずっと竹の足場でビルを建設してきたから、5階くらいのビルしか建てられなかったんです。日本企業が進出したことで、中国人は日本の技術を学び、経済が発展し、給料も上がった。中国人は日本企業によって豊かさを享受できるようになったんです」

民間の投資ばかりではない。見過ごせないのが、日本政府による中国への巨額援助だ。中国は日本が戦後賠償していない唯一の国だが、代わって巨額のODAがつぎ込まれてきた。日本の対中ODAは’79年から開始され、これまで円借款(有償資金協力・円建ての低利融資)で3兆3165億円、無償援助で1544億円、技術協力で1704億円を出資してきた。さらに”隠れODA”というべき援助が、ODAと同時期に始まった低金利・長期融資の『資源開発ローン』だ。これを合わせれば30年間で6兆円以上にもなる。

だが中国は、日本からの援助をほとんど自国民に公表してこなかった。それにより、官民による日本の巨額支援があった事実を多くの中国人はまったく知らないのだ。現地メディアは、ぜひこの記事を翻訳して人民に伝えてほしいのだが……。

(週刊FLASH 1016日号)

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