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(C)2018「海を駆ける」製作委員会

 

主演映画『海を駆ける』が5月26日に公開されるディーン・フジオカ(37)にインタビュー【その1】。本作は戦争と津波の記憶が残るインドネシアのバンダ・アチェを舞台に、謎の力で奇跡を起こす正体不明の男を描いたファンタジーだ。

 

――映画をご覧になった感想は?

 

「いやあ、笑いが止まらなかったですよ。撮影のときのことを思い出しちゃって(笑)。

 

鶴田(真由)さんと阿部(純子)ちゃんと一緒に試写会で見たんですが、単純に、現場が楽しかったなあということを思い出しました。

 

なかなかない現場でしたね。インドネシアと日本のクルー、キャストが入り混じっていて。だからこそ穏やかで、和やかで、いろいろなことがあったなあって」

 

――現場にムードメーカーはいたんですか?

 

「やっぱり太賀くんですかねぇ。彼が演じるタカシという役はインドネシアと日本のミックスですが、現場の彼も役のように、インドネシアと日本、二国の架け橋のような存在でした。現場のマスコットみたいでしたね」

 

――劇中でも、インドネシアの若い俳優さん2人と、太賀さん、阿部純子さんとの4人の若者たちの交流が素敵な雰囲気で描かれていましたね。

 

「現場でも本当に4人は仲良しで。僕がきっかけになることをポッと出すと、みんなでわぁ~!って、盛り上がるんです。たとえば、インドネシア料理は、左手を使わず右手で食べる習慣があるので、太賀くんに手づかみで食べる方法を教える、とか。

 

僕は、家族にインドネシア人がいるし、ジャカルタで過ごした時間もあって、それなりにインドネシアのことを知っているので、よくそういうお題を出しては、遊んでいました。途中から、太賀くんのインドネシア語のピックアップが急速に上がって、歌とかも振りをつけて歌っちゃうし、このままインドネシアで歌手デビューしちゃうんじゃないかと思ったくらいでしたけど(笑)」

 

――ディーンさんが演じたラウは正体不明の謎の男。ラウを演じるうえでどのようにアプローチしましたか? 

 

「監督からラウのイメージをいただいたときに考えたことは、特定のアイデンティティ、たとえば国籍や文化のバックグラウンドといったものをトレースできないようにしようということでした。ラウというアートインスタレーションみたいなものを、自分の体だったり声だったり、存在を通して作っていけたらいいなあと思いました」

 

――役づくりは難しかったですか?

 

「いやあ、難しいと思いますね。結局、ラウが何なのか誰もよくわかっていないですから(笑)」

 

――ラウは、笑っていても、どういう気持ちなのかわからないような人ですよね。

 

「感情がないですよね。僕自身は、ラウは“自然の象徴”みたいな感じなのかなあと捉えています。彼の力は、恵みにもなれば災いにもなる。善悪の意識とか、何らかの意思があるわけでもない、みたいな」

 

――今作は、フランスとインドネシアとの3カ国の合同製作です。多国籍に活躍されていたディーンさんにとって、こういう作品に参加できたことをどのように考えていますか?

 

「インドネシアのなかでも、バンダ・アチェという地で撮影すると聞いたときは、かなりの衝撃でした。本当にできるんだろうか!?と。いやあ、すごいなぁって。

 

行ったことがなかったので、アチェの状況はきちんと把握していませんでしたけれども、内戦していたくらいですから、ジャカルタに住む僕の周囲の人たちにとっては、同じ国なのに外国のようなところで。“大丈夫なの?”と心配されたりしましたね。

 

でも、実際にアチェに行ってみたらすごく穏やかなところで、逆に驚きました。僕自身、いつかインドネシアで映画を撮りたいと思っていたんですがこれまで縁がなくて。ジャカルタでは音楽を作ったり、CMを撮ったり、そういうスパンが短い仕事がほとんどだったので。今回こうやってバンダ・アチェのエリアで約1カ月みっちり過ごせたというのは、自分の人生において貴重な体験でしたね。

 

さらにそれが、日本人が監督した作品で。日本を経由してまたインドネシアに戻ってこられたというのも、自分にとっては感無量です」