5月2日20:00 ぞう使いから母象プーリーが破水したとの連絡。
2月中旬から今日かな、今日かなと毎日、出産日と思いながら過ごしてきた。
やっと、この日がやってきた!という思いと何からすれば良いの?かと考え、とりあえず娘のパジャマと着替えを用意して姉に託し家を出た。
ゾウ舎へ入るといつもの雰囲気と全く違い、7頭のぞうさん達もそわそわして落ち着かない感じ、一番奥のプーリーの所はぞう使いさん12人と4人のぞう使いの奥さん達そして、この日の為に3月から来日していたゾウ専門の獣医プリーチャー先生達が集結して打ち合わせをしていた。片言のタイ語で「今日かね?」と聞くと皆、「今日だ。」と、そして、「何時?」と聞くと「深夜2時」と自信たっぷりと答えてくれた。ぞう使いさん達の勘とプリーチャー先生の長年の経験があればきっと大丈夫。
「がんばれ!プーリー がんばれ。」
最終の打ち合わせが終わり、皆それぞれ床に寝たりぞうさんの背中にかける掛け布に包まったりと11時には電気も消え皆寝静まった、ぞうさん達も横になって寝、一番小さなマミーは大きないびきまでかいている。でも一番年上のぞうさん“ようこ”、うちで一番長く暮らしている“ミッキー”はずーっとプーリーを心配そうに見つめている。プーリーは陣痛がくる度に後足を宙に浮かせたり中腰になってみたりと本当に辛そう。私は自分の出産の時を思い出してみた、すごく痛かったというのもあったがすごく不安な気持ちの方が大きかったのを思い出した。
きっと、プーリーも自分に何が起こるのか、どうなってしまうのか不安なのかもしれない「がんばれ がんばれ プーリー!」
ぞう使いさん達もほとんどの人が寝てしまう中、兄のぞう使いの師匠であるデンさんとムングさんプリーチャー先生と私だけが起きていた。デンさんとムングさんが変わる変わる暗闇の中、懐中電灯でプーリーの様子を伺い、トランシーバーでプリーチャー先生と連絡をとりあいながら約2時間、その時がついに来た。
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深夜1時半、プリーチャー先生が全員を起こすよう指示し全員が飛び起きた。
私は、赤ちゃんの体を洗う為のお湯を大きなタライに2個に貯め、「もう産まれるよ」とぞう使いの奥さんに呼ばれ、行くともうすでに羊膜が出ている、カメラで撮らないとと思っているのだが、目が離せないファインダーを覗かずにただシャッターだけを切り、深夜1時45分無事女の子を出産。
0705282_2 自然と涙が止まらない、今まで色々な動物の出産や自分の出産の時でさえ泣かなかったのに本当に嬉しさと、お疲れ様プーリー無事に産まれたね、そしてプリーチャー先生やぞう使いさん、スタッフの皆に本当に感謝の気持ちがいっぱいあふれ出してきて、声を出して泣いてしまった。
そして、赤ちゃんの短い鼻、まん丸の目、耳、何よりも真っ白な足の裏と爪・・・
ちゃんとゾウなのです。
本当に産まれてきてありがとう。これから60年よろしくね。