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(写真・神奈川新聞社)

体操のリオデジャネイロ五輪代表2次選考会を兼ね個人総合で争う全日本選手権最終日は3日、国立代々木競技場で決勝があり、男子は既に五輪代表に決まっている内村航平(コナミスポーツ)が91.300点で制し、自身の記録を更新する9連覇を達成した。

男子は床運動の世界王者、白井健三(日体大)が89.700点で2位、ロンドン五輪代表の加藤凌平(コナミスポーツ)は3位だった。

◆絶対王者も脱帽

「床運動の結果じゃないよな」。内村は会場の大型スクリーンに映し出された最終順位に目を疑ったという。前人未到の9連覇を飾った絶対王者を「開いた口がふさがらない」と驚かすことができるのは、もはや白井だけだろう。昨年の11位から2位へ大躍進し、「床と跳馬のシライ」との言葉を完全に過去のものとした。

得意の床運動は16・500の高得点でまさに一人舞台。跳馬でもトップタイの15・500をマークした。ただ、並外れた成長曲線を描く19歳はこれにとどまらない。

1日の予選で落下したあん馬をミスなくこなすと、昨年の決勝で13点台の鉄棒を14点台、平行棒は15点台に乗せた。「順位には驚いた」と話すものの「内容にはびっくりしていない」と平然と言ってのけた。

日体大でのトレーニングが大きいという。周囲には自分と比べて腕力に優れる選手が多い。チームメートから練習方法を学んだ成果を発揮し、「この結果は大学の仲間のおかげ」と謙遜したが、進化の源には飽くなき向上心がある。

「意志を継いでくれている。また殻を一つ破った」。日本の大エースにそう褒めちぎられた白井だが「満足しちゃいけない。ここが通過点」と決して安住しない。

次の選考会は5月のNHK杯。「個人総合ができてこそ日本の体操。まだ自分の仕事は残っている」。スペシャリストからオールラウンダーへ。白井はまだまだ強く、大きくなる。

◆体操の五輪代表選考

代表は男女とも5人。男子は内村が昨秋の世界選手権個人総合優勝で選考基準を満たして決定。全日本選手権の決勝得点を持ち点に争う5月のNHK杯で内村を除く最上位者を選ぶ。残り3人は6月の全日本種目別選手権を含む3大会の成績から、五輪の団体総合でチームに貢献できる3人を選出。ただし、1人はNHK杯5位以内、もう1人は12位以内とする。女子はNHK杯上位3人と、団体で貢献度の高い4人の計7人を代表候補とし、試技会や合宿を経て7月に最終決定する。

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