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(写真・神奈川新聞社)

川崎市出身で福島市在住の映像作家・鉾井(ほこい)喬(たかし)さん(31)が、福島県の各地で咲く桜を通して現況を伝えたいと製作した短編映画「福島桜紀行」の上映が6日、横浜市民ギャラリー(横浜市西区)で始まった。10日まで。入場無料。

鉾井さんは東日本大震災の際、NHKのカメラマンとしてヘリコプターから仙台平野を襲う津波の様子を撮影。「目の前で起こっていることが理解を超えていて、ただただ動きを追うことしかできなかった」と振り返る。福島を離れがたく、2013年にNHKを退職し、福島市を拠点に創作活動を行っている。

福島県の内外で、復興や現況について認識の差を感じるという鉾井さん。「なかなか復興が進まない避難区域や観光客が戻りつつある内陸部など、場所によって状況は全く違う。県内にくまなく咲く桜を撮影することで、こうした複雑な状況を押し付けることなく伝えられるのではないか」と同映画を製作した。

撮影は昨年行い、太平洋側から内陸に向かう桜前線を追い掛けた。桜並木を守ろうと手入れに訪れる避難区域の住民など、桜に寄り添い、思いをかける人々に話を聞いた。「原発事故後の復興の遅さと避難されている方の苦しみ、そして桜が人と地域をつなぐ重要な役割を担っていると改めて気付かされた」

美しい桜の映像を将来にも残そうと高画質の4Kで収録。その土地が本来持っていた魅力や人々が寄せる故郷への変わらない思いを切々と訴えており、会場では涙ぐみながら映像に見入る来場者の姿も見られた。

約20点の写真も展示。上映時間は約30分で繰り返し上映。10日午後2時から、鉾井さんのギャラリートークあり。予約不要。問い合わせは同ギャラリー、電話045(315)2828。

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