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(写真・神奈川新聞社)

相模原市緑区の知的障害者施設「津久井やまゆり園」の殺傷事件で、県は9日、施設の大規模改修か建て替えによる機能回復を検討していることを明らかにした。現時点で閉鎖して移転させるといった選択肢はないといい、今後、入所者や家族、職員らの意向とともに施設の現状などを確認して判断する考えだ。

 

県と同園を運営する「かながわ共同会」は、現施設で入所者のケアを継続するには「単に部屋をクリーニングしただけでは済まない」との認識で一致。県は同日の事件再発防止等対策本部会議で、建て替えの場合は4~5年、大規模改修には1~2年かかるとの目安を示した。

 

ただ、いずれの選択肢も検討すべき課題は多く、入所者や家族の理解をどう得るか▽悲惨な現場を目の当たりにした職員が改修後に働き続けられるか▽建て替え期間中の入所者の移動先はどうするか-といった問題が考えられる。

 

会議後、黒岩祐治知事は「改修や建て替えが必要ならば大変な金額もかかる。現場の人の声を聞かないと分からないし、デリケートな問題で難しい」と述べ、11日に同園を訪れて施設や利用者の状況を確認する意向を示した。

 

事件発生から9日で2週間。同園には、今も男女92人が在園している。男性27人は体育館で寝泊まりし、女性の居住スペースは定員超過の状態で、県と共同会は職員とともに一定数の在園者を別の屋内施設に移す検討も進めている。

 

共同会の米山勝彦理事長は8日夜、「日がたつほど悲しみと卑劣な行為への憤り、無念さが募る一方だ」とした上で、「復旧への道のりは厳しく長いと覚悟している。ご家族の理解と協力なしにはなし得ない」と語っていた。

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