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(写真・神奈川新聞社)

「自由と民主主義のための学生緊急行動」を意味する英語の頭文字をとって名付けた「SEALDs」(シールズ)が15日で解散した。創設メンバーで大学院生の奥田愛基さん(24)=横浜市=は活動を通じて民主主義のありようを問い続けた1年3カ月を振り返り、「しっかり終わることが大事。終わればまた誰かが始める」と前を向く。

 

奥田さんは「解散することにさみしさはまったくない」。反対した安全保障関連法は成立し、参院選では改憲勢力が憲法改正発議に必要な3分の2の議席を占める結果になった。継続的な社会運動が大切なのは痛感している。「一方で、何かあったときに緊急的に動く力も必要。シールズは後者として立ち上げたもの。僕らがそうだったように、誰からも頼まれずに始める人がきっといる。そのためにも終わらせることが大事だ」

 

シールズは2015年5月3日の憲法記念日に発足。東京・渋谷でデモを行い、若者らしいポップな音楽とコールを響かせ注目を集めたが、何より「私」を主語にしたスピーチが既存の社会運動組織や市民から新鮮、かつ共感をもって受け止められた。呼び覚まされた主権者意識こそが運動の広がりの源泉だった。

 

安保関連法案に反対する国会前の抗議行動の参加者は最大で12万人(主催者発表)に膨れ上がり、野党共闘を呼び掛けた参院選では32ある1人区すべてで野党統一候補が立つに至った。

 

この日、シールズが発表した「最後のメッセージ」は「選挙結果を含め、これで十分だったとは思っていません」として、憲法12条がうたう国民の自由と権利を守るための「不断の努力」を71回目の終戦の日の誓いとして、こう結ばれた。「終わったというなら、また始めましょう。始めるのは私であり、あなたです。何度でも反復しましょう」「孤独に思考し、判断し、共に行動し、そして戦後100年を迎え、祝いの鐘を鳴らしましょう」

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