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(写真・神奈川新聞社)

横浜市神奈川区の大口病院の点滴連続殺人事件で、ゴム栓フィルムに穴が開いていた未使用の点滴袋は約10袋に上ることが28日、捜査関係者への取材で分かった。神奈川署特別捜査本部は、死亡した2人以外にも被害者がいる可能性があるとみて、2人と同フロアの入院患者の血液検査を始めた。点滴に注入された疑いがある消毒液は「ヂアミトール」という殺菌剤だったことも明らかになり、特捜本部は開封済みのボトル3本を押収、今後鑑定を進める方針。

 

捜査関係者によると、未使用の点滴袋は18日に死亡した青葉区の男性(88)=横浜市=と20日に亡くなった港北区の男性(88)=同港北区=の病室がある4階ナースステーションに約50個あり、うち約10個のフィルムに注射器で開けたような小さい穴があった。特捜本部はこれらにも消毒液が混入された疑いがあるとみて、内容物を分析。同じフロアに入院していた患者十数人の血液検査も始めた。

 

また、2人の体内から検出された界面剤と同タイプのものが含まれ、4階ステーションにあった消毒液は「ヂアミトール」という殺菌剤だったことも判明。ヂアミトールは、ほぼ透明の液体で、手術時の消毒や医療用器具の殺菌などに使われている。人体に入ると中毒症状を起こす恐れがあり、経口投与しないよう注意書きがある。劇薬指定はされていない。

 

一方、死亡した2人が最後に点滴を交換してから、心拍数の低下を告げるアラームが鳴るまで、5~8時間ほど経過していたことも分かった。法医学の専門家によると、一般的に界面剤を体内に摂取すると比較的短時間で何らかの症状が出るという。2人は一定の時間が経過していることから、専門家は発覚を遅らせるため混入量をコントロールした可能性もあるとみている。

 

これまでの調べで、2人に投与された点滴は17日午前に同ステーションに搬入されたことが明らかになっている。特捜本部は青葉区の男性の点滴を交換した18日午前10時ごろまでの約24時間に、医療に詳しい人物がステーション内で消毒液を混入させたとみており、病院関係者らから事情を聴き、当日の勤務体制などを調べている。

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