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(写真・神奈川新聞社)

 

オウム真理教による坂本堤弁護士一家殺害事件の発生から今年で27年。命日の前日に当たる3日、一家3人が眠る円覚寺(鎌倉市)の墓前で法要が営まれ、弁護士仲間や高校の同級生が冥福を祈った。

 

朝方までの雨がうそのように、秋の陽光が降り注いだ古都の境内。読経が響く中、約30人の参列者が次々と墓前に花や線香を供えて静かに手を合わせた。

 

「坂本君は晴れ男だったから、この日はいつもこんな天気」と語るのは、坂本弁護士と家族を救う全国弁護士の会事務局長の影山秀人弁護士(58)。かつて坂本弁護士とともに、子どもや障害者の権利救済に取り組んだ。

 

「彼はものすごく力のある人で心強かった。私もずっと一緒に仕事をしたかった」。墓前では例年と同様に、この1年間の取り組みや成果を報告した。

 

同じ事務所の先輩だった岡田尚弁護士(71)は当時、オウムの事案を坂本弁護士に回したことを今も気に留めている。「もしかしたら殺されていたのは私だったかも。払いのけがたい重しが私の心にある」

 

生きていれば坂本弁護士は今年で還暦を迎え、活動30周年の節目。「あいつのことだから、祝いの席ではにぎやかに冗談でも言っているでしょう。大いに活躍していただろうに」。坂本弁護士の無念さに思いをはせつつ、目を細めた。

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