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(写真・神奈川新聞社)

 

箱根町、南足柄市、静岡県小山町の3市町にまたがる金時山(標高1212メートル)の頂上に今春、山頂を教える標柱がお目見えした。金時山をこよなく愛する登山愛好家のグループが、来訪者の達成感を満たそうと資金調達からデザイン、制作までを手掛けた。標柱の形は金太郎伝説にちなみ、「まさかり」を選んだ。

 

「金時山を愛する友の会」の代表(64)には、忘れられない表情がある。

 

2年ほど前、中学1年生が野外教室で金時山に挑戦した際、ボランティアとして引率した。額に汗をかきながら、一生懸命登る生徒たち。約1時間半かけて登頂したが、子どもたちの口から出たのは喜びではなく、疑問だった。「ここが山頂なの?」。その表情は「ぽかんとしていた」。

 

山頂から数メートル下に位置する静岡県小山町側の広場には「天下の秀峰 金時山」と記された標識があり、山頂にある茶屋の近くには頂上を示す三角点があるが、誰もがすぐに登頂したと気付くことのできるような目印はなかった。「苦労した分、達成感を味わってもらいたいと痛感した」。仲間に相談し、標柱制作を決意。金太郎伝説発祥の山といわれる金時山に設置するのに、形は「まさかりしかないと思った」。

 

約30万円を投じて完成した標柱は高さ約2メートル。鉄製の刃を下にし、丈夫な人工木材を使用した柄には「金時山 山頂」などと彫った。完成後、メンバー3人で約45キロの標柱を山頂まで運んで設置し、箱根町に寄贈した。

 

設置後、標柱は記念撮影の新たなポイントとしても人気を呼んでいる。標柱の横で満面の笑みを見せる息子2人の写真を撮った鎌倉市の主婦(40)は「他の山の標柱と比べてかわいい」と喜ぶ。

 

「半日で行き来できて気軽に登山が楽しめ、富士山など山頂の景色も素晴らしい」。金時山の魅力を熱く語る代表は「登頂した思い出の一枚に、標柱を活用してほしい」と願っている。

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