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(写真・神奈川新聞)

 

東日本大震災で関連死を含め16人が死亡・行方不明になり、首都圏最悪の津波被災地となった千葉県旭市でも11日、県・市合同の追悼式が行われた。遺族らによる献花の前に、同市立飯岡中学校3年の時に被災した神奈川大4年、大木沙織さん(22)=川崎市=が自らの体験を語り、「本当の復興は心の復興。旭市には今、このことが一番必要」と思いを込めた。

 

大木さんは中学校から内陸へ一時避難した後に戻った海辺の自宅で、玄関先まで迫る津波に遭遇。大学進学後の2016年、同じような被災経験を持つ飯岡中の同級生らとグループを結成し、自らが代表となって震災を語り継ぎながら古里のためにと活動している。

 

追悼式では、こうした経緯に触れながら、「神奈川県の大学に入学し、(旭市の被害が)知られていない悲しみを初めて経験した」と振り返った。その一方、「地元を離れたからこそ気付けたことを旭市で生かしていく。若者が率先することが大事」と自らに言い聞かせるように語り、「いつか戻ってきて、まちを盛り上げたい」と結んだ。

 

参列者は午後2時46分に黙とうをささげ、献花を行った。森田健作知事は式辞で「災害は大きな悲しみだが、助け合いや思いやりの気持ちが生まれ、その思いが引き継がれていくことはとても大切」と述べた。千葉県内では、旭市のほか、船橋市や柏市などで計8人が亡くなった。

 

被害が集中した旭市・飯岡地区の海際にあり、再建を果たした「いいおか潮騒ホテル」の周辺では、地元住民らによる継承の集いが催され、音楽演奏などを通じて犠牲者を悼んだ。

 

「東北の被災地に比べれば復興は進んでいるが、海沿いに新築された家は数棟ほど。被災者の心はまだ癒えておらず、忘れないための取り組みを続けていかなければ」と実行委員長の戸井穣さん(73)。同地区に最大波が押し寄せたとされる午後5時26分にも黙とうをささげた。