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(写真 神奈川新聞)

 

浜銀総合研究所が3月に実施した調査によると、今春に賃上げを予定する県内中堅・中小企業の割合は前年比3・5ポイント増の64・6%となり、調査を開始した2010年以来、最も高くなった。一方で、賃下げすると回答した企業はなかった。企業の景況感改善に加え、人手不足感の高まりを受け、待遇改善で人材を確保しようとする動きが広がっている。

 

賃上げを予定する企業の割合は、製造業が4・3ポイント増の73・7%、非製造業が2・3ポイント増の58・1%。一方、賃上げを実施しない企業の割合は調査開始以来最低となり、全産業で2・1ポイント減の17・5%、うち製造業が2・8ポイント減の10・3%、非製造業が1・2ポイント減の22・5%だった。

 

賃上げ幅は前年並みが0・9ポイント減の71・5%と最多だったが、拡大する企業が3・9ポイントと大幅に増加して15・7%となり、縮小は2・4ポイント減の7・4%で、拡大傾向が見られた。拡大する企業を業種別で見ると、製造業が8・3ポイント増の18・3%、非製造業は0・2ポイント増の13・4%だった。

 

賃上げを検討する際に重視することについては、自社の業績が3・7ポイント減の65・1%と最多だったが、雇用の維持・確保が1・5ポイント増の22・0%と割合を伸ばした。

 

鹿庭雄介副主任研究員は「景気が良くなっている中で賃上げを実施する企業が増え、賃上げ幅も拡大しておりいい傾向」とした。一方で、「仕事はあるが人手を労働市場から獲得できず、売り上げの阻害要因にもなっている。人口も減っており、この傾向はしばらく続くだろう。企業にとって雇用維持がポイントになっている」と分析した。

 

調査は県内の中堅・中小企業1187社を対象に実施しており、回答企業は384社。回答率は32・4%。

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