藁で編んだ綱引きを60年余ぶりに再現し、笑顔でカヌチ棒を差し込む上原区長=7月29日、南城市大里・古堅区の「ウマイー」
(写真・琉球新報社)
【南城】南城市大里の古堅区(上原良三区長)は7月29日、雨を乞うアミシ行事を開催した。60年余ぶりに、ロープではなく藁(わら)で編んだ綱での綱引きを復活させた。
ロープだけで引くのは物足りない。藁で綱を作って地域活性化につないでいこうという要望に応え、区民30人が区外で手に入れた藁で綱作りに挑んだ。
上原区長ら区三役が区内の拝所を回り「アミフリタボリ」と拝み、豊年祈願した。午後6時ごろから区民が公民館前に集まり旗頭「豊年」と「金聲玉振」を先頭に藁の網をみんなで担いで東、西の両方に分かれて道ジュネー。
集落高台の綱引き会場ウマイー(馬場)に上って対峙(たいじ)。どらやほら、太鼓が鳴り響く中、東の久微利組、西の新島組に分かれ「ハーイヤ」と威勢よく引き合った。男女別綱引きも行われ、旗頭を揺らしてのガーエーも意気盛んに行われた。
上原峻青年会会長らによる独特のハイファー棒術の演技も、これまでにない気迫に満ち、区民らを魅了した。綱作りから加わったという照屋充教さん(80)は「藁を触っていると昔のことが思い出され、うれしかった」、鉦鼓を鳴らして綱引きを鼓舞した上原一宏さん(66)は「幼いころ綱を引いた場所が頭に浮かんできた」と懐かしそうに話した。
久しぶりに参加した上里由記子さん(66)は「藁で編んだ綱引きが再現されると聞いて、孫を連れて力を込めて懸命に引いた。楽しかったが、翌日肩が痛くならないか心配」と喜びいっぱい。
上原区長も「こんなに区民に喜んでもらえるとは。みんなの協力で、やっと思いがかなった」と満面の笑みで語った。(知花幸栄通信員)