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一部で白化や死亡した個体が見られるサンゴ群体= 31日、慶留間島近海(大村真俊さん提供)
(写真・琉球新報社)

環境省那覇自然環境事務所は31日、石垣島と西表島の間にある石西礁湖海域のサンゴ礁35地点を調べた結果、平均89.6%のサンゴ群体が白化していたと発表した。6月ごろから海水温が30度を超える状態が続いており「このままでは死亡する群体がさらに増える」と予測した。研究者は「2007年の大量白化と同水準になりそうだ」と指摘している。さらに慶留間島のダイバーによると、国立公園に指定されている慶良間諸島でも一部で白化や死んだ個体が確認されており、関係者は全県的に白化が広がることを懸念している。

 

石西礁湖の調査は環境省が今年7月26日から8月17日に行った。種別のサンゴ被度や白化を調べるため、2005年から毎年行うモニタリング調査の一環。白化している89.6%のうち全体が死亡した群体が5.4%、全体が完全に白化している群体が24.2%に上り、一部白化、一部死亡もしくは全体的に色が薄い群体が60.0%だった。

 

白化はサンゴ体内に住む共生藻が体外に放出されたり、共生藻の色素が薄くなったりして起こる。白化から死亡までに時差があり、軽度なら環境が改善すれば回復する可能性がある。今後は環境省が年内に追加調査し、10~12月には生物多様性センターが定期的な調査を予定している。

 

八重山ダイビング協会の安谷屋正和会長は「大変なことになった。石垣島は人気の高いダイビングスポット。評判が悪くならないか心配だ」と落胆した。「サンゴの産卵の量が多く喜んでいただけにショックだ。これ以上白化が進まないでほしい」と話した。

 

慶留間島でダイビングショップを経営する大村真俊さん(62)によると、慶良間諸島周辺海域でも白化した個体が増え、全体が変色して色が薄くなっている。「死んでしまった個体も確認した。台風が来て海水温が下がらない限りどうしようもない」と頭を抱えた。

 

現地調査に関わった琉球大理学部海洋自然科学科の中村崇准教授の下で、沖縄本島でもサンゴを研究している同大大学院前期博士課程1年の小島香菜さん(22)によると本部町、恩納村、北谷町、糸満市などでも白化が見られる。ただ、白化は全体の1割程度と規模は小さく、程度も軽いものが多いという。

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