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沖縄も舞台の一つとなった小説『怒り』への思いを語る原作者の吉田修一=琉球新報社
(写真・琉球新報社)

芥川賞作家・吉田修一の同名小説の「怒り」が那覇市のシネマQで上映されている。重要な舞台の一つとなっている沖縄でも撮影が行われ、米兵による少女暴行事件など劇中には目を背けたくなるようなシーンも描かれる。原作者の吉田は「沖縄の人間ではないが、自分のできる範囲で、想像しなくてはいけないという思いで必死に書いた」と語った。

 

東京で殺人事件が発生し、その1年後、千葉、東京、沖縄に素性不明の男性が現れる。人は事件の犯人と同じ特徴を持ち、男性の周囲の人々の心の葛藤などが描かれる。

 

沖縄は離島が舞台になっており、県外から引っ越してきた泉(広瀬すず)は周辺離島で暮らすバックパッカーの男性・田中(森山未來)と出会う。泉の同級生・知念達也を県出身の現役高校生の佐久本宝が熱演した。吉田は「一番重要な役柄といってもいいぐらい。初めての演技とは思えなかった。森山さんといっしょに演技をしていて、全くひけを取らない」と評価した。

 

沖縄の場面では、いくつも沖縄の現状を想起させるようなシーン、せりふがちりばめられている。吉田は「東京に沖縄出身の友人がいる。事件事故が発生した時にはその友人のことを思い浮かべる。作中にも『沖縄の味方にはなれないが、お前の味方にはなれる』というせりふがある。僕も友人の味方にはなれそうな気がするとしか言えないが」と慎重に、そして誠実に言葉を紡いだ。