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第2次普天間爆音訴訟の判決を受け、那覇地裁沖縄支部前で垂れ幕を掲げる原告側の弁護士ら=17日午前、沖縄市 (写真・琉球新報社)

 

米軍普天間飛行場の周辺住民3417人が、騒音の発生源である米軍機の実質的な飛行差し止めや過去、将来分の損害賠償などを求めた第2次普天間爆音訴訟の判決が17日、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)で言い渡された。藤倉裁判長は「国は、普天間飛行場における米軍航空機の運航などを規制し、制限することのできる立場にはない」として、従来の基地爆音訴訟と同様の「第三者行為論」を採用し、飛行差し止めの請求を棄却した。日米両政府の「普天間基地提供合意」の違憲無効確認などについては、裁判で審理する対象ではないなどとして却下した。一方、原告の被害が受忍限度を超えていると認定し、過去分の損害賠償約24億6千万円の支払いを命じた。原告は控訴する方針を示している

 

損害賠償についてはうるささ指数(W値)75以上の原告に月額7千円、W値80以上の原告に月額1万3千円の支払いを命じた。W値75、80以上ともそれぞれ1次訴訟の賠償額から千円増額しており、全国の基地爆音訴訟でも最高水準。将来分の請求は却下した。

 

藤倉裁判長は騒音や低周波音により生活妨害や精神的苦痛、睡眠妨害があると指摘。虚血性心疾患のリスク上昇や低出生体重児の増加は認めなかったものの「高血圧症発症の健康上の悪影響のリスク増大が生じている」として、騒音が原因の健康被害を一部認めた。

 

低周波音については「生活妨害や精神的被害、睡眠妨害の一因になっていると認められる」としながらも「生理的影響が及び、その健康に影響が生じていると認めるには足りない」とした。提訴後に配備されたオスプレイについては「原告らの被害が増大したと認めるには足りない」として、被害として認めなかった。

 

一方「(1次訴訟の)確定からすでに4年以上経過しているが、米国や国による被害防止対策に特段の変化は見られず、周辺住民に生じている違法な被害が漫然と放置されていると評価されてもやむを得ない」と指摘した。

 

飛行場周辺の騒音コンター(分布図)区域外の住民については「W値75以上の騒音に暴露されている原告らに認定できる被害が認定できないか、程度が小さいと言わざるを得ない」として、請求を認めなかった。

 

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