image
記者会見を終え、退席する翁長雄志知事=26日午後、那覇空港
(写真・琉球新報社)

 

沖縄県の翁長雄志知事は26日、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の移設計画に伴う名護市辺野古の埋め立て承認を巡り、昨年10月に行った「取り消し処分」を取り消した。仲井真弘多前知事が2013年12月27日に行った埋め立て承認の効力が復活することになる。

 

沖縄防衛局は県からの通知を受けて27日に埋め立て工事の関連作業を再開し、基地内に保管するフロート(浮具)の海上設置に向けた作業を進める。翁長知事は26日、記者団に対し「原点に戻り、新辺野古基地を造らせないという新たなスタートを切っていきたい」と述べ、さまざまな知事権限を行使して新基地建設を阻止する決意を改めて強調した。

 

埋め立て関連工事は今年3月4日の辺野古代執行訴訟の和解以来、9カ月ぶりの再開となる。取り消し処分の取り消しは、辺野古違法確認訴訟で最高裁が20日に県敗訴の判決を出したことを受けた措置。

 

県は26日午後、防衛局宛ての取り消しの通知文を郵送した。防衛局には27日に到着する。県側は作業の実施前に事前協議を求めている。

 

防衛局は本格的な工事は年明けに再開し、海底掘削(ボーリング)調査や汚濁防止膜設置に伴うコンクリートブロックの海中投入も行う。当面は護岸設置に向けた作業を目指す。

 

26日は米軍キャンプ・シュワブの工事用ゲート前で午前8時半ごろから市民ら約30人が新基地建設に抗議の声を上げた。陸上部の工事用生コンを搭載したとみられるミキサー車26台と作業員の車両3台が入った。市民らは「ミキサー車は新基地建設とは直接関係しないと県も確認している」として搬入阻止はしなかった。県の担当課長も車両搬入を現場で確認した。

 

20日の最高裁判決は、辺野古埋め立て計画の合理性、防衛局による環境保全措置などには特段不合理な点はないとした上で、翁長知事による承認取り消しは違法と判断した。翁長知事は承認取り消し判断を巡る確定判決には従うと表明していた。

 

翁長知事は今後も、あらゆる手段で辺野古新基地建設を阻止する考えに変わりないことを強調している。政府が年明けにも普天間飛行場の辺野古移設工事を本格化させる中で、知事側が工事阻止へどのような一手を講じるかが焦点となる。

 

関連カテゴリー:
関連タグ: