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(写真・琉球新報社)

 

沖縄県立北部病院の院内講座が25日、同病院1階ロビーであり、小児科の阿見祐規医師が「身近に潜む性的虐待」をテーマに講話した。阿見医師は、性的虐待が誰の身近にも起こり得ると知ることがまず大事だとし「被害者は常にSOSを発している。それをキャッチしたら、ちゃんと話を聞いてあげてほしい」と訴えた。

 

虐待被害の中で、性的虐待が最も表面化しにくい理由として、阿見医師は加害者が被害者に沈黙を強いること、社会も被害自体を知らず、たとえ知った場合でも、被害者に落ち度を問う場合もあることなどを挙げた。その上で「社会が結果的に被害者の沈黙を支えてしまい、誰にも気付かれないまま被害が続いている」と危機感をにじませた。

 

被害を受けると、自傷行為や摂食障害、虐待の加害者への移行、他者との触れ合いへの恐怖などさまざまな影響が出ると言われている。阿見医師は「まずは被害が身近にあると知ることが、防止につなげる一歩。被害者の発するSOSに気付いた場合は、しっかり受け止めて話を聞いてほしい」と呼び掛けた。通報先として、相談を24時間受け付ける全国共通ダイヤル「189」を紹介した。

 

阿見医師は「性的虐待にかかわらず、児童虐待は子どもの人権と成長、その子らしく生きる権利を奪う。医療を通してだけでなく、社会的にも精神的にも、子どもを守ること、味方であることが小児科医の役割だと考えている」と語り、小児科医が虐待防止をテーマに講話する意義を語った。

 

講座は同病院が院内に設けている子ども虐待委員会の啓発活動として実施した。委員会は、北部圏域の保育・福祉職、行政職ら支援者に対して積極的に虐待防止をテーマに活動している。今回は一般向けとして外来患者も聴けるよう、会場を1階ロビーに設定して朝の時間帯に開いた。

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