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(写真・琉球新報社)

 

米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの運用で、日本政府が沖縄配備に先立ち安全策として最低安全高度を地上500フィート(約150メートル)以上と説明していたのに対し、実際の海兵隊による運用は200フィート(約60メートル)に設定していることが13日までに分かった。地元への説明は実際の運用より高い高度でオスプレイの安全性を過大に装っていたことになる。高さ約70メートルの沖縄県庁より低い高度だ。実際、昨年12月の名護市安部で墜落したオスプレイも、夜間訓練で飛行高度を60メートルに設定していたとみられ、説明と実際の運用が食い違ったまま配備から4年以上にわたって訓練が続けられていることになる。

 

沖縄にオスプレイを配備する目前の2012年9月19日、防衛省と外務省がオスプレイの「運用に係る安全性」を発表した。その中で「日米合同委員会合意」として、日本での運用は「低空飛行訓練について、最低安全高度(地上500フィート)以上の高度で飛行」と説明していた。

 

さらに添付した合同委の覚書ではただし書きで「MV22の運用の安全性を確保するために、その高度を下回る飛行をせざるを得ないこともある」としている。

 

一方、09年8月31日付の米海兵隊司令部が出した「MV22(オスプレイ)戦術即応マニュアル」の「防御戦闘作戦(DCM)行動の規則」の中で「DCMは昼間・有視界状況で行わなければならない」とした上で「ティルトローター機(オスプレイ)の飛行最低高度は地上200フィート」と定めている。

 

さらに、オスプレイ配備に伴い米軍が公表した環境レビューの本文では、低空飛行訓練の高度は「500フィート」以上と繰り返し述べながら、別表で昼間と夜の明るい時間帯での低空飛行のモデル高度は「200フィート」と明記している。

 

昨年12月に名護市安部で墜落したオスプレイの操縦士の物とみられるチェックリスト(確認書)で、NVG(夜間暗視眼鏡)を使った訓練の項目で「レーダー高度設定」の欄に手書きで「200フィート」と記入されていた。飛行前の打ち合わせ時の記入とみられ、低高度の飛行が安全のための突発的対応ではなく、訓練の前提として200フィートに設定されていたことになる。

 

13年の県外でのオスプレイの低空飛行訓練でも、200フィート(60メートル)の高度で飛行していたことが明らかになっており、沖縄でも60メートルで低空飛行している可能性が高い。(滝本匠)

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