『捕虜となった民間人からの聞き取りで描かれた地下壕の絵』
沖縄県公文書館は、沖縄戦に参加した米陸軍や米海兵隊の作戦報告書類約58万4千ページを31日から一般公開する。米国国立公文書館などが所蔵し、日本の国立国会図書館が集めた資料から収集した。県公文書館が一斉公開する米軍の沖縄戦関連資料としては最も多い。従来研究者が米国や東京で個別に収集していた貴重な資料が、県内でまとめて一般公開されることで、沖縄戦研究の進展が期待される。
公開資料の中には、米軍が戦時中に押収した日本軍の文書や捕虜となった日本軍兵士の尋問調書もある。日本軍関連の資料の大半が焼失し、不明な部分も多い沖縄戦の全容を解明する上で貴重な記録となりそうだ。
公開されるのは、米陸軍の「第2次世界大戦作戦報告書」と米海兵隊の「地理ファイル」の沖縄関連資料。米陸軍の報告書は、太平洋戦争中から1947年ごろまでに陸軍の地域軍、軍、軍団、師団などで作成された作戦計画書、作戦指令、戦闘報告書、占領活動報告書、敵状報告書、諜報(ちょうほう)報告書などが含まれる。太平洋戦域、第10軍、第24軍団、第7歩兵師団、第27歩兵師団、第77歩兵師団、第96歩兵師団、第441防諜分遣隊のシリーズごとに公開する。米海兵隊の地理ファイルには、作戦計画書、作戦指令、戦闘報告書、諜報報告書、捕虜尋問書などがあり、機動部隊、第3水陸両用軍団、第1海兵師団、第2海兵師団、第6海兵師団など師団ごとに公開する。
これらの資料を含む太平洋での米軍の作戦資料は70年代に米国国立公文書館で公開され、日本の国立国会図書館が収集した。昨年11月から、県文化振興会が国立国会図書館の収集資料から沖縄に関連するキーワードや年代、部隊を手掛かりに収集し、県に寄贈した。
資料は、和訳を付けたタイトル以外は全て英語の原文のままで、マイクロフィッシュで収録している。館内で専門の機械を使用して読むことができる。
県文化振興会公文書専門員の仲本和彦さんは「沖縄戦の証言を検証・補完し、より真実に迫る資料の一つだ。多くの人が記録を見て沖縄戦の歴史をひもといてほしい」と話した。