輪になり、昇降運動としり取りを同時に行う参加者たち。思いがけない言葉が飛び出し笑顔がこぼれる=9月22日、浦添総合病院健診センター
頭と体を同時に使って運動することで認知症を予防する運動プログラム「コグニサイズ」が評判だという。英語の「コグニション=認知」と「エクササイズ=運動」を合わせた造語で、愛知県の国立長寿医療センターが開発した。沖縄県内では浦添市の名嘉村クリニックがことし2月からコグニサイズ教室を実施している。9月22日に浦添総合病院健診センターで開かれた教室では、60〜80代の男女23人が汗を流した。(赤嶺玲子)
「らくだ」「だんぱち」「ちむぐくる」。はぁはぁという息切れとともに聞こえてくるのは「しり取り」。5〜6人が1組になり、12分間の昇降運動をしながら、しり取りや計算をするコグニサイズのプログラムの一つだ。
他にも、床にはしご状に敷いたラインの上を歩きながら数字を数え、「4、8」など特定の数の時にラインの外に足を出す課題もある。記者も挑戦したが「簡単なようで難しい」。12分間の昇降運動ではじんわり汗ばんだ。
指導する同クリニック看護専門看護師の屋良利枝さん(54)によると、「軽く息が弾む程度のややきつい運動」と「たまに間違えてしまう程度の少し難しい認知課題」を同時に行うのがポイントだという。自己判断ではなく、運動の前後に脈拍を測って適正な運動強度を設定している。
屋良さんは「コグニサイズは半年以上、継続して行うことで効果が出る」と強調する。記憶力など認知機能の変化を測定するため、教室の開始時と終了時には「認知機能評価」を実施している。屋良さんは「結果を見ると、認知機能が改善している参加者が多い」と話す。
現在、教室に参加している23人もコグニサイズの効果を実感し、2〜7月の教室終了後も継続して通っている。11月に開講する教室にも参加希望者が集まっているという。
俊敏な動きと笑顔が印象的な牧志信子さん(83)=沖縄市=は「なかなかハードよ!」と汗を拭いながら、「以前は健康に不安があったけど、教室に通ってから疲れにくくなった。1人では続かないが皆で励まし合いながら運動すると楽しい」と語る。
池田三千さん(75)=浦添市=も「記憶力の改善など効果が実感できるのでやる気につながる。親しい友人もできて心身ともに良い」と語った。
同クリニックでは11月に開講する教室の参加者を募集している。毎週木曜日の午後2〜4時、場所は浦添総合病院健診センター。料金は1回500円で全18〜20回。問い合わせは同クリニック(電話)098(870)6600。