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新たな護岸建設工事が始まった辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸部=6日午前、沖縄県名護市

 

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で、名護市辺野古で4月に最初の護岸「K9」に着手してから半年。防衛省沖縄防衛局は新たに2カ所の護岸建設に着手した。移設に反対する沖縄県はこの間、裁判、行政指導と対抗カードを切ってきたが、国は「指摘は当たらない」などと工事を止めることなく強硬姿勢を崩していない。県は「国の既成事実化の戦略には乗らない」(幹部)と冷静さを装うが、工事は国のペースで進み、中止への決定打は見えない。

 

今回、政府が護岸建設に着手した現場は、7月にオキナワハマサンゴなど絶滅危惧種の希少サンゴが見つかった区域。防衛局はサンゴを守る必要があるとして10月26日、サンゴの移植に必要な特別採補許可を県に申請した。しかし国は、県の許可を待たず工事に着手した。「審査後に着手するかと思っていたが」と県幹部も審査中の工事着手に驚きを隠さない。


◆連休前の急展開

 

新たな護岸工事に着手の動きは先週末、急に加速した。三連休に入る直前の2日夕。終業時間間際に防衛局が県庁に“駆け込み”で文書を持参した。辺野古での工事に関し県が10月31日に出した質問書への回答書だ。

 

これまで回答に数週間以上を要することが多かったが、今回は1週間を待たずに回答。オキナワハマサンゴを移植しないまま工事着手される可能性やその懸念を問う県に対し「予測調査を行った結果、影響はなく、生息環境は維持される」と断言。移植前の工事強行をにおわせた。

 

「県への説明は尽くしたと言うための提出だったのだろう。いつも自分たちの都合だ」と県幹部はため息交じりに振り返った。護岸工事に着手を見据えた計算し尽くされた提出だった。国が矢継ぎ早に護岸工事に着手した背景には、トランプ米大統領の訪日に合わせた米側へのアピールと同時に、北朝鮮への対応で注目が集まる首脳会談に合わせて工事強行の批判を回避する思惑があった。


◆来日報道一色

 

「偶然の一致だ」。米軍普天間飛行場の辺野古移設を含めた在日米軍再編の進展を改めて確認した日米首脳会談と辺野古の新たな護岸工事が重なったことに防衛省関係者はこう語り、準備が整ったために開始したと強調した。

 

しかし、護岸工事に着手からわずか数時間後、東京で開かれた日米首脳会談の席上、両首脳は辺野古の工事推進を確認した。「一層の遅延が平和および安全を提供する能力に及ぼす悪影響に留意しつつ」との文言も添えられた。トランプ氏の来日に合わせ、念密に準備された工事計画だった。

 

県民の多くが反発し抗議の声が上がった護岸工事に着手だったが、この日の大手メディアの報道はトランプ氏の一挙手一投足を伝える内容が大半を占めた。政府関係者は「やはり辺野古はかき消された。辺野古よりも北朝鮮、拉致が注目だろう」と語り、工事強行の矮小(わいしょう)化を狙い、タイミングを図っていたことをにじませた。

 

「サンゴを守るために移植が必要だからと言って採捕許可申請を出しているのに、その一方で工事も進める。矛盾以外の何ものでもない」。県幹部は、なりふり構わぬ国の姿勢に悔しさをにじませつつも「裁判で着実に進んでいくしかない。できることは全てしている」と自らに言い聞かせるようにつぶやいた。

(仲井間郁江、仲村良太)

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