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ミハイル・ゴルバチョフ氏

 

東西冷戦終結の立役者で、ノーベル平和賞を受賞したミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領(86)は、核兵器の脅威が高まっている現状への懸念から、琉球新報を通して県民にメッセージを送った。「核兵器は現在もなお、沖縄に保管されているかもしれない」と危惧を示した上で「この問題は県民に真実を公開する必要がある」と指摘した。ゴルバチョフ氏は「沖縄での軍事基地拡大に対する県民の闘いを支持する」と強調し、「沖縄は軍事基地の島ではなく、沖縄の人々の島であり続けなければならない」と、自己決定権の行使を求めた。

 

ゴルバチョフ氏はNHKが昨年放送した番組「NHKスペシャル 沖縄と核」で「冷戦時代、沖縄に多数配備されていた核兵器に関する情報を知った」とし、現在も沖縄に核が配備されている可能性を危惧した。

 

ゴルバチョフ氏は85年の米ソ首脳会談で「核戦争は一切起こしてはならない」などとする共同宣言をレーガン米大統領と発表するなど核軍縮に積極的に取り組んできたことを強調した。その上で「沖縄での軍事基地拡大に対する県民の闘いを支持する」と、名護市辺野古の新基地建設反対運動にエールを送った。

 

沖縄を「世界に類を見ない豊かな自然と独特な文化がある」とし、沖縄の将来像について「世界の人々が行き交うターミナル」として「平和的な発展を目指すべきだ」と強調した。

 

関係者によると、ゴルバチョフ氏は3度の沖縄訪問で「海岸の美しさに驚嘆した」と語り、「自己決定権」という言葉を使って「こんな恵まれた環境下にありながら、沖縄人がその特性に気付かず、自らが豊かな明日への十分な可能性を閉ざしているとしたら、極めて残念なことだ。次世代の子どもたちのためにも、平和で豊かな発展は、沖縄人の手の内にあることを、もう一度考えてほしい」と述べ、自己決定権の行使を求めたという。

 

■メッセージ要旨■

 

冷戦時代、沖縄に多数配備されていた核兵器に関する情報が、NHKの番組などで明らかになったと知った。と同時に、現在もなお、沖縄に保管されているかもしれないという危惧で私は心を痛めている。この問題は、県民に真実を公開する必要がある。

 

私は核兵器の削減や最終目標としての核兵器の完全撤廃、国際問題に軍事力を使用しないという点を主張してきた。この観点から、沖縄での軍事基地拡大に対する県民の闘いを支持してきたし、今後も支持する。

 

沖縄は、世界に類を見ない豊かな自然と独特な文化がある。軍事基地の島ではなく、沖縄の人々の島であり続けなければならない。

 

沖縄は世界の人々、文化、貿易が行き交うターミナルとしての環境が整っている。将来の世代のためにも、この豊かな環境を活用し、平和的な発展を目指されることを切に願う。

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