いじめ問題専門委員会の答申を受け、亡くなった児童と遺族に謝罪する市教育委員会関係者=30日、豊見城市役所
2015年10月に沖縄県豊見城市内の小学4年の男児が自殺した問題で、市教育委員会が設置した第三者委員会(天方徹委員長)は30日、児童に対するいじめを認定し、自殺の大きな要因の一つにいじめがあったとして因果関係を認める報告書を答申した。報告書は、学校側が適切な対応を取っていれば、自殺を防げたと判断し、いじめに対する学校側の認識の甘さも指摘した。防止策として、市教育委員会にいじめ対策の専任教員の配置などを提言した。
本人が心身の苦痛を感じれば「いじめ」とする法律上の定義に基づき、15年5~10月に男児が受けた「ズボンを下ろされる」など5件をいじめと認定。報告書は「いじめが客観的には重篤でなくても、本人は深刻に受け止め深刻化した可能性がある」と指摘。学校側が普段から保護者らと情報を共有し、きめ細かい対応ができていれば自殺を防げた可能性があるとした。
答申後に記者会見した天方委員長は「児童が受けていたいじめを学校側が『トラブル』と認識したことで対応が遅れた」と指摘。「極めて問題だ」として学校側の認識の甘さを強調した。
報告書の完成の遅れについて、豊見城市教委が事故後、いじめ防止対策推進法第28条に基づく「重大事態」に認定しなかったことや、市教委や学校が「保身に起因する対応」を取ったことが調査に影響したとしている。
報告書は、事故後に遺族に対して「根拠のない風評」が出回り「遺族が何重にも傷つけられた」と指摘。風評を発信した関係者に対し、反省を求めている。
豊見城市の照屋堅二教育長は「真摯(しんし)に受け止めたい」と述べ「亡くなった児童や遺族に対し深くおわび申し上げる」と謝罪した。男児の遺族は「息子の死が少しでも今後のいじめをなくすことに役立つことを願う」とコメントを出した。