治療後、放鳥され森に帰るヤンバルクイナ=29日、国頭村(島袋貞治撮影) 画像を見る

沖縄県国頭村安田の県道2号の路上で交通事故に遭い、保護されていた絶滅危惧種のヤンバルクイナが29日、治療後に回復したとして、発見場所に近い普久川(ふんがわ)ダム周辺で放鳥された。環境省やんばる自然保護官事務所の職員が放鳥場所で箱を開くと、中に入っていたヤンバルクイナは周囲をきょろきょろ見回した後、元気よく走り抜けて森に帰った。

 

放鳥されたヤンバルクイナは雄の成鳥。4月15日、路上で翼を開いたまま、横たわっている状態で見つかった。うるま市のNPO法人どうぶつたちの病院沖縄に運ばれ、治療されていた。左脚にまひが確認されたが、骨折はなかった。1週間の投薬など治療を施した。

 

どうぶつたちの病院沖縄の金城道男副理事長は「元気に走る姿に安心した。交通事故でけがした場合、ヤンバルクイナのほとんどが命を落としている。今回けがの程度が軽かった。不幸中の幸いだ」と話した。

 

自然保護官事務所によると、2017年にヤンバルクイナが交通事故に巻き込まれた事案は確認されているものだけで30件。このうち保護され、放鳥に至ったのはわずか2羽だった。小野宏治上席自然保護官は「放鳥に至るまでの事例はまれだ。ドライバーは安全運転を心掛けてほしい」と呼び掛けた。

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