(写真・神奈川新聞)

 

横浜市立大学付属病院(同市金沢区)で2012年10月、同市の60代の男性がコンピューター断層撮影(CT)検査で腎臓がんの疑いがあると診断されたが、院内で情報が共有されず、今年4月に死亡していたことが分かった。病院側は25日会見し、情報の共有不足が原因で「適切な治療機会を逸した」と医療事故を認め、謝罪した。

 

また、同病院と市大付属市民総合医療センター(同市南区)で16年7月から17年6月の間、CT検査で「がんの疑いがある」などとされながら適切に情報が共有されず、悪性腫瘍が放置された事例が今回の死亡例を含め計11件あったことも判明した。今回を除く10件で重篤な患者はいなかったという。

 

同病院によると、男性は心臓の疾患で通院中の12年10月、CT検査を受けた。結果を踏まえ、放射線科の医師は腎臓がんの可能性を認識。がんの疑いを排除することが望ましいとの画像診断報告書を作成したが、本来の検査目的と異なる部位だったため、循環器内科の担当医に直接伝えなかった。

 

担当医は、画像診断報告書の存在に気付かないまま14年2月、地域の医療機関に男性を紹介。男性は17年末からせきが出るようになったため今年2月、他の病院で胸部のCT検査を受けたところ、肺へのがんの転移が疑われ、再び市大付属病院を受診。3月に入院して腎臓がんなどが見つかり、12年10月のCT画像にがんを疑わせる陰影があったことも確認された。男性は抗がん剤治療などを受けたが、今年4月に死亡した。

 

病院側は、12年の時点で画像診断報告書の内容が担当医に伝わっていれば、精密検査をして手術ができ、生存していた可能性も捨てきれないとの見解を示している。会見で相原道子病院長は医師間の情報共有ができていなかったことが原因とした上で、「病院全体の問題として責任を重く感じている」と謝罪した。

 

同センターで17年10月、70代の男性がCT検査で「膵臓(すいぞう)がんの疑い」と診断されながら院内で情報共有されず、死亡した医療事故が発覚。16年7月から17年6月までに作成されたCTなどの画像診断報告書を対象に、同様の事案がないか調査していた。

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