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名古屋発祥のコーヒーチェーン「コメダ珈琲店」の沖縄1号店が8月6日、糸満市兼城の商業施設「サンプラザ糸満」内にオープンした。出店が決まったときからメディアに取り上げられるなど注目は高く、初日も早朝から行列ができる盛況ぶりだった。

 

コメダは1968年に名古屋市で創業。名古屋の喫茶文化を代表する「モーニング」などで知られ、現在は全国で約800店を展開し、上海や台湾にも店舗がある。

 

コメダは積極的な新規出店で収益を拡大する戦略を取っており、2018年2月期まで4年連続の増収増益を達成。21年2月末までに千店への拡大を掲げているといい、沖縄は47都道府県中46番目の出店、〝空白県〟は青森のみとなっている。

 

■行列嫌いの沖縄県民も並んだ

 

オープン初日、さっそく「沖縄糸満店」を訪ねてみた。

 

記者たちが到着したのは午後2時10分。午前11時までの「モーニング」やランチタイムが落ち着いた時間帯だったが、受け取った整理券番号は34番目。50分待ちで入店できた。

 

広報グループの沖田有紗さんによると、午前5時には一番乗りの男性が並び、7時の開店前にはおよそ100人が列をつくっていたという。並ぶのが嫌いな沖縄県民だが「口コミで話題になっていたから」「県外から移住してきて久々にコメダに来た」など幅広い客層が今か今かと入店を待った。

 

入店待ちの間、隣にいた家族連れに話を聞いた。比嘉真琴さん(41)はかつて名古屋市に住んでいたことがあるといい、コメダ開店をテレビのニュースで知って沖縄市から車で駆けつけたという。沖縄市から糸満市までは高速道路を使っても50分ほどかかる距離だ。

 

「シロノワールとコーヒーシェイクがおすすめ。昔は甘い物ばかり飲んでいたけど、今日はブラックコーヒーを頼もうかな」とメニューとにらめっこ。「車の運転は苦手で沖縄市から出たくないんだけど、名古屋にいる頃に通ったコメダ珈琲が懐かしくて、今日は車の運転も苦じゃなかった」と目を輝かせた。

 

■「沖縄ならでは」と喫茶文化の融合へ

 

そもそもなぜ糸満なのか?

 

コメダは「くつろぎ」にこだわり、「街のリビングルーム」や「日常の中の喫茶店」をコンセプトにしている。それを踏まえ、広報担当の沖田さんは「那覇より糸満の方が地域に密着している。さらに空港からも近く観光客も利用できる。より多くの人にアプローチできる場所だと考えています」と語る。

 

喫茶文化の根強い名古屋でもコメダは人気が高く、来客があると「ちょっとコメダに行こうか」と応接室代わりに使う人や、1日に4回訪れるファンもいるという。

 

沖縄糸満店は88席で全席禁煙。パイナップルとハムを使った南国風ピザを限定メニューとして販売する。フロアを「ハイビスカス」「シーサー」「デイゴ」とエリア分けし、店員は「ハイビスカス1に水2つ」などと声を掛け合うのも沖縄糸満店ならではだ。

 

コメダ一番の看板メニュー「モーニング」は、好きなドリンクに焼きたての分厚いトーストが付き、さらに「ゆで卵」「たまごペースト」「おぐらあん」から一つをチョイスする。

 

沖田さんによると、「全国的には定番のゆで卵が人気ですが、初日を見ると沖縄は断トツでおぐらあんです」とのこと。ドリンクでも、小豆をコーヒーやミルクティー、ミルクに入れた「小豆小町」が人気で、沖田さんは「沖縄ではぜんざいを食べるからかも」と推測する。

 

今後の沖縄県内での店舗数拡大は1号店の成功次第という。沖田さんは「名古屋独特の喫茶文化を、沖縄の人たちにもお楽しみいただきたい。日常に寄り添う店舗として愛されていってくれたらいいなと思っています」と語った。
(大城周子、玉城江梨子)

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇

コメダ珈琲店 沖縄糸満店
場所:糸満市兼城400
定休日:無休
駐車場:有り
営業時間:7:00~23:00(8月6~8日は18時まで)

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