全長17メートルの車体を操る女性トラック運転手のやりがいと課題
「経験を重ねて、車体の感覚をつかめるようになった」と誇らしげに語る宮城若子さん

 

男社会でキャリア20年超の宮城若子さん

 

男性の割合が圧倒的に大きいトラック運転手の仕事を20年余続けている。乗り物の運転が好きで、車高から眺める景色の美しさは何にも代えがたい。大型トラック運転手の宮城若子さん(43)が情熱を注ぐ仕事の魅力とは。

 

高江洲洋子(琉球新報編集局記者)

 

「好き」追い求めて

 

幼いころから自転車など乗り物の運転が好きだった。18歳で普通免許を取り、ツーリングに夢中になった。北部の海岸を走り、季節によってさまざまな表情を見せる海、緑豊かな山々の風景に心が躍った。

 

21歳のときに大型トラックの運転免許を取り、運送会社に入社した。現在のようなフォークリフトが十分に備わっておらず、倉庫から手作業で一つひとつの荷物をトラックに移し替えた。力仕事が多く、男性との体力差を痛感したが、好きな仕事だったから「やめようとは思わなかった」。当時、職場によっては男女の賃金差があり「男性と同じように給料がもらえるのも魅力だった」と振り返る。

 

勤務時間に配慮

 

運送会社が倒産し、4年前に沖食商事(浦添市)に転職した。女性の運転手は社内で宮城さんひとり。小学1年生の息子がいるため、午前8時から午後5時までの勤務を望んだ。

 

経営者も理解を示し、宮城さんが定時に帰宅できるような仕事内容にしている。宮城さんが主に受け持っているのは製造業者から飲料を卸問屋まで運搬する仕事。飲料はあらかじめひとまとめに梱包されており、それをフォークリフトでトラックの荷台に運ぶ。作業場では機械の導入が進んでおり、ひと昔前のような力仕事が減っているという。宮城さんは「子育てと両立できるのは上司と同僚の協力があってこそ。本当に感謝している」としみじみとした口調で語る。

 

トイレ、休憩室と課題も

 

県トラック協会によると県内の運送業で運転手として働く女性の割合は2・6%とかなり少ない。協会は昨年10月、人手不足の解消と女性でも働きやすい環境づくりを目指して女性部をつくり、女性運転手の増加を目指している。

 

業界全体は人手不足が続いており、背景には男性の職場というイメージが強い、高齢化の進展、長時間労働といった課題がある。

 

特に建設現場からは早朝に建築資材を運んでほしいという注文が多い。子育て中の女性は子どもを学校へ送り出す時間帯と重なるため、就職をためらってしまうという。トラック協会は女性が働きやすい労働時間の設定、女性専用のトイレや休憩室など環境づくりの支援を検討している。女性の運転手を増やし、人手不足の解消を目指している。

 

女性部副部長の上里千恵子さん(東産業常務)と金城隆子さん(PROGRESS31)は、大型免許取得費用の補助、病児保育との連携など女性が働きやすい環境づくりに向けて、「行政の支援が必要」と強調する。

 

経験の先にあるやりがい

 

宮城さんの所属する沖食商事は女性専用トイレが整っているが、港の倉庫など現場の作業用トイレは男女兼用が多いのが現状だ。宮城さんは、職場の上司を通じて改善できるよう伝えている。

 

最大積載20トン、全長17メートルの大型トラックの運転は、車体の感覚を身に付けるまで時間がかかる。とはいえ、ハンドルを握っている間は安全に運転するため常に緊張している。「職場に戻って同僚とその日の出来事を話したり、冗談を言い合ったりすると気持ちがほぐれますね」

 

経験がものをいう仕事で「やりがいが大きい」と誇りを持つ。「憧れていた仕事をしているから、いやなことがあってもやめたいと思わない。大型を運転したいという女性がもっと増えてほしい」と笑顔を見せた。

 

(おわり)