お皿にたっぷりと愛情が盛られたボリューム満点のウチナー料理が人気の通称「波布(はぶ)食堂」(那覇市通堂町)が28日、27年間の営業を終える。閉店を惜しむ県民や観光客が開店前から列を作り、創業以来のおおにぎわいとなった。
行列嫌いの県民性をよそに27日、店前には開店3時間前から並ぶ客の姿が。店内の50席は開店と同時に全て埋まり、昼時には100人を超える客が店の外まで行列を作った。
常連の山城一さん(50)=那覇市=は「朝一番に並んだ。いつもおばさんから元気をもらっている。閉店は寂しい」と話し、シーブン(おまけ)の三枚肉を名残惜しそうに頬張った。
城間宗信さん(65)=南城市=は「孫に見せておきたかった」と話し、福岡から来た孫の瀬底正太郎さん(12)は「お店の雰囲気が好き。ここでしか味わえない味」と満足顔で祖父の残りを包み帰った。
朝から調理に追われる店主の仲村渠梨枝子さん(67)は食堂の活況に「だからよ、初めて」とおどけて見せ、途切れない客の列に「今日は少ないよ」と目の回る忙しさを楽しんでいるようだった。
「お食事処波布」は最終営業日の28日も午前11時に開店し、材料が無くなり次第終了する。県民の胃袋を支えた店が平成の終わりと共に姿を消す。
(高辻浩之)
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