サトウキビの搾りかす(バガス)で作ったジーンズを身につけるさとうきび創生ラボの富井岳さん=4日、浦添市港川の「SHIMA DENIM WORKS」 画像を見る

 

沖縄県内外の若手の会社経営者7人で構成するさとうきび創生ラボ(浦添市)は、サトウキビの搾りかす(バガス)をすき込んだ「バガス和紙糸」を完成させ、県内でジーンズに仕立てて浦添市港川の「SHIMA DENIM WORKS」で販売している。年間約20万トンが排出されるバガスに利用価値やファッション性を付加することで、担い手不足などに直面するサトウキビ農業の活性化を後押しする。

 

昨年10月に立ち上がったさとうきび創生ラボの設立目的について、メンバーの富井岳さん(27)は「サトウキビ畑は沖縄の原風景。この風景を守るために農業以外の形で僕たちに何ができるか考えた」と語る。

 

サトウキビの新たなブランディングで目を付けたのが、バガスの繊維質を生かしたデニム生地だった。

 

製法は、バガスを瞬時に乾燥させ粉状にするオキナワパウダーフーズ(糸満市)の技術で、県内の製糖工場から出たバガスを粉にする。パウダーにしたバガスを岐阜県美濃市で特殊紙の開発を行う会社に送り、マニラ麻と混合させて和紙にする。和紙を縦に細かく切り込み、ひねりを加えてバガス和紙糸が出来上がる。

 

デニム生地の産地である広島県福山市の工場でバガス和紙糸と綿糸を織り合わせ、デニム生地に仕上げる。最終的に沖縄市の職人の手で縫製され、ジーンズの形になる。綿100%のジーンズよりも軽く、着心地がいいのが特徴。リグニンというバガスの成分に消臭効果もあり、重労働を行う人にも適しているという。今後は県内の農家にユニホームとして提供することを目指す。

 

富井さんは「重労働や収益性の低さから後継者は減少している。新しい価値を生むことで、若い人に『サトウキビ産業を守りたい』と思ってもらえるといい」と話した。
(石井恵理菜)

 

(2019年7月14日付 琉球新報/朝刊/1頁/総合 掲載)

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