時間経過の項目で「指令」と「出場」の時間が改ざんされた救急活動記録票。左が改ざん前の現場作成の記録票、右が改ざん後の記録票=2日、那覇市 画像を見る

【南部】島尻消防組合消防本部で規程の書き換えや賭博横行などの不祥事の発覚が相次いでいる問題で、今年10月、同組合で救急活動に関する報告書の時間記録の改ざんが行われていたことが2日、分かった。本紙が入手した内部文書で判明した。消防司令本部の指令を受けた時間と事故現場に出動する時間が、実際よりも早めて記載されていた。複数の職員の証言によると、改ざんは幹部の指示によるもので、日常的に行われていたという。

 

一連の問題を受け、管理者の瑞慶覧長敏南城市長は同日、島尻消防に対して第三者委員会の設置に応じるよう求めた。

 

時間記録の改ざんがあったのは、職員による救急活動の記録を記した「救急活動記録票」。例えば、10月14日に八重瀬町で発生した交通事故での救急活動について、消防司令センターからの「指令」を受けた時刻と事故現場に出動する「出場」の時刻の時間記録が書き換えられていた。

 

事故が発生した同14日の勤務を終えた職員は、実際の時間通りに「指令」と「出場」の時刻を「20時28分」と記載。しかし、同18日に幹部の決裁を受ける際に幹部の指示で「指令」を実際よりも5分早い「20時23分」、「出場」を実際よりも2分早い「20時26分」とそれぞれ記載し直していた。島尻消防の複数の職員によると、こうした幹部の指示による時刻の改ざんは、慣例的に行われていた。

 

職員の活動を記した記録票は、ほかに火災発生時の「火災出動記録票」と火災報知器の鳴動などによる出動時の「警戒出動記録票」があり、いずれも幹部から同様の書き換え指示があったという。書き換えを指示された職員は、傷病者や家族に出動時間が遅いと訴えられることを避ける措置や、消防庁への報告で実績を良く見せる目的があった可能性を指摘した。

 

島尻消防は、本紙の取材に「時間の改ざんを幹部が指示したり、職員が指示を受けたりしたという話は把握していない」と回答。屋比久学消防長は「管理職会議の中で課長級の職員に具体的な内容を調べるよう指示した」と話した。
(嘉数陽、安里洋輔)

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