米軍普天間飛行場から流出し、住宅地に迫る泡消火剤=4月11日、宜野湾市大謝名(金良孝矢撮影) 画像を見る

 

4月10日に米軍普天間飛行場で発生した泡消火剤の流出事故で、琉球新報は9日までに、米軍が作成した事故報告書を米情報公開請求に基づき入手した。それによると、放出を止めるために必要な非常停止ボタンの「長押し」を試みたが、放出は止まらず、ボタンが「作動していなかった」と、現場の米海兵隊員らが証言していたことが分かった。装置に不具合があった可能性がある。報告書は現場の海兵隊員が泡消火剤の非常停止ボタンの正しい使い方が分からなかったため、25分間にわたり放出が続いたと結論付けた。

 

報告書は非常停止ボタン付近の掲示内容がボタンの正しい操作法を説明するよう求めた米国防総省の「統一施設基準」に沿っていなかったとも指摘した。

 

報告書によると、事故の後に米軍が実施した現場検証では事故が起きた「格納庫539」で泡消火剤の放出装置を起動した後、非常停止ボタンを20~30秒間押し続けると放出は止まったと説明している。

 

事故当日は非常停止ボタンは少なくとも17回押された。押し続けた時間の平均は44秒。17回のうち9回は30秒以上だったが、放出は止まらなかったという。

 

報告書に記載されたパイロットへの聞き取り記録では、非常停止ボタンは長押しする必要があることを確認し、現場の海兵隊員が実際に長押ししたものの、放出は続いたとしている。パイロットはボタンが「明らかに作動しなかった」としている。

 

琉球新報は停止ボタンに不具合があったのか米海兵隊に質問したが、9日までに回答はない。

 

報告書によると、ボタンでは放出が停止できなかったため、消防隊員が泡消火剤の放出機器に水を供給する弁を閉じ、発生から25分すぎに放出が止まった。

 

また米海兵隊は泡消火剤が格納庫の外に流出するのを防ぐために格納庫の扉を閉めようとしたが、扉が故障しており、外部に流出したことも記している。扉は何年も故障したままだった。
(島袋良太、明真南斗)

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