鍼灸師として社会的に自立している外間久生さん。家事援助の時間が減れば「仕事が継続できない」と訴える=那覇市のゆい鍼灸整骨院 画像を見る

 

全盲で鍼灸(しんきゅう)師の外間久生(ひさお)さん(那覇市)が65歳になったのを機に、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスで受けている「家事援助」の時間が減らされる恐れが生じ、これまでと同じ時間を支給するよう那覇市に求めている。鍼灸院と整骨院を経営し、診療もする外間さんは「仕事を継続するためには現在の支給量が必要不可欠だ。社会参加の機会を奪わないで」と訴えている。

 

障害福祉サービスと介護保険サービスの両方に同じような内容のサービスがある場合、厚生労働省は「介護保険が原則優先される」としている。ただし、一律に介護保険を優先せず利用者の状況に応じて市町村が判断するとしている。

 

外間さんは現在、障害福祉サービスで月39時間の家事援助を受けている。昨年12月に65歳になったため市の要介護認定調査を受け、今年3月に介護が必要な「要支援1」と認定された。だが、介護保険サービスに切り替わると家事援助は月8時間に減ってしまう。外間さんは「調査員が適切な説明をせずに調査したため、実態と異なる調査結果となっている」と指摘。認定取り消しを求めて、4月に県介護保険審査会に審査を請求した。

 

市と協議した結果、外間さんは「介護は不要」として介護保険サービスの区分変更を申請した。再調査の結果、9月に介護の必要がない「非該当」と判断されたため、審査請求を取り下げた。

 

外間さんは11月までは月39時間の家事援助を受けられるが、那覇市は12月以降に何時間支給するかについて審査中だ。市の担当者は取材に対し「内部規定で、65歳に達したら介護保険非該当でも、要支援1などの基準に合わせて家事援助は原則9時間としている」と説明した。理由の一つとして「非該当とは介護の手間が必要ないということだ。その人の方が支給量が多いと矛盾する」と話した。

 

だが近隣の浦添市や南風原町では、65歳になっても介護保険非該当で障害福祉サービスを継続するなら、家事援助の時間が減ることはない。南風原町では要支援1などに認定されても、介護保険サービスによる家事援助の時間が足りなければ、障害福祉サービスによる家事援助も併用できる。

 

外間さんの代わりに那覇市などとやり取りしている友人で、元市職員の浜元泰三さん(66)は「城間幹子市長が掲げる『やさしく、温かく、こまやかに…』という方針を踏まえ、職員は市民に対応してほしい」と願っている。(伊佐尚記)

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