11日で東日本大震災から10年。地震の規模は過去最大級のマグニチュード(M)9.0、千年に1度と言われる巨大津波を伴う戦後最悪の自然災害となった。岩手、宮城、福島3県を中心に死者、行方不明者、災害関連死は計約2万2千人に上る。このような災害は沖縄でも起こる可能性はあるのか。起きた場合はどうすればいいのか。県の津波浸水想定図と共に県内各地の防災に関する取り組みを紹介する。
東日本大震災を受け、沖縄県は2013年3月に「津波浸水想定図」を公表し、15年3月には新たなデータに基づく想定図を公開した。県内で発生する最大級の津波を想定して、浸水の区域や水深を予想した。最大浸水深は34.7メートルに達し、浸水深1メートル以上となる面積は240.2平方キロメートルで県面積の10.5%に広がると、試算されている。
過去に沖縄で最も大きな被害を及ぼしたとみられるのは、1771年4月24日に石垣島近海で発生したマグニチュード7.4の地震だ。「明和の大津波」と呼ばれ、大津波で八重山、宮古地域で死者約1万2千人、家屋流失約2千棟余の被害があったという。
津波浸水想定では、南西諸島海溝(琉球海溝)の8断層、沖縄トラフと宮古・八重山の間の8断層で発生する地震を基に最大級の津波を予想した。津波の高さなどは、過去に沖縄に襲来した記録や今後の予想から設定された。この津波の高さは、内閣府による南海トラフの巨大地震モデルや1960年のチリ津波の高さを上回る。
予想される最大浸水深は石垣市で34.7メートル、竹富町で34.6メートル、宮古島市で27.0メートル、与那国町で23.1メートルと先島で高い。沖縄本島では東村で21.6メートル、名護市で21.2メートル。
浸水深1センチ以上の浸水面積は289.9平方キロメートルで県面積の12.7%に当たる。1センチ以上の浸水面積も先島が広く、石垣市で49.6平方キロメートル、竹富町で42.3平方キロメートル、宮古島市で38.9平方キロメートルと予想される。
一方、地震の震源が想定よりも陸地に近かったり、条件が異なる場合は遡上(そじょう)高が高くなったり、浸水区域以外でも浸水する可能性があるとしている。
県内では沿岸部や川沿いなどの低地に住宅地や商業地域が多いため、各市町村のハザードマップや自治会の防災マップなどを基に、各自が避難計画を用意することも求められる。
(仲村良太)