八重の父熱演の松重豊 「役者断念で建設現場で働いたことも」

投稿日: 2013年01月18日 07:00 JST

大河ドラマ『八重の桜』で主人公・綾瀬はるか(27)の父・権八を演じる松重豊(49)。昨年『孤高のグルメ』(テレビ東京系)で初主演を掴んだ彼の意外な過去を追った。

つかこうへいの『蒲田行進曲』などを観て、「青春のはけ口として」と明治大学1年生の暮れから舞台に立っていた松重。2年生のとき三谷幸喜が旗揚げした『東京サンシャインボーイズ』に参加した。

「バイトしていた店の片づけが終わった深夜、ユタカは日払いの4~5千円を握りしめて、バイト仲間や私と近所を飲み歩いていましたね。普段は自分からペラペラしゃべるほうじゃなかったんですが、酒が入るとアングラ系の演劇論にツバを飛ばしながら情熱的に語り合っていました」(30年来の友人・二瓶真弓さん)

 大学を卒業した松重は、オーディションに合格し、『蜷川スタジオ』に入団した。「しばらくして久しぶりにユタカから連絡があって『テンペスト』に出演するからぜひ観に来てって。夫と一緒に観に行くと、ユタカは何やら下半身に鯉のぼりのような衣装を着た化け物役(笑)。」(真弓さん)

  夢を叶えて『蜷川スタジオ』入りした松重だったが、実は3年半で退団している。彼は演劇誌で当時をこう回想する。

「あるとき蜷川さんが『ここは劇団じゃない。俺は狼を3年かけて野に放つ作業をするんだ』と。その言葉通りにスタジオを去る決意をしました。僕は完全に演劇という世界から離れたつもりでした。実際、その後の1年半は建設会社の社員になって、このまま職人として生きていくのかなと思っていました」

  現場作業員として黙々と仕事に励んだ松重を再び芝居の世界に引き戻したのは、『蜷川スタジオ』の仲間・勝村政信(49)の「松、もう一度、芝居をやらないか」という一言だったという。

俳優・松重豊が醸し出す哀愁の背中。その妙味ある演技は“苦節の過去”と“仲間の支え”の賜物のようだ。

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