おニャン子着用セーラーズ社長が語る突然の閉店のワケ

投稿日: 2013年08月17日 07:00 JST

’85年、当時人気絶頂だった『おニャン子クラブ』のメンバーが着用して大ブレイクした『セーラーズ』。水兵さんのキャラクターで親しまれ、ブーム後も根強いファンを獲得していたが、’99年のある日、突然閉店する。

 実は、社長の三浦静加さん(60)は46歳で出産するも、生まれた娘にはハンディキャップがあり、突然の閉店は、娘の育児に専念するためだった。表舞台から姿を消して13年、三浦さんが“空白の歳月”を初めて明かす——。

「(閉店時には)死亡説まで出たみたいですが、いたって元気です(苦笑)。今回、まずはセーラーズのファンの皆様や事情を知らずに心配してくださった方々に、心からお詫びしたいんです」

 そう言うと、三浦さんは長年、胸につかえていた石ころを吐き出すように顔をしかめた。1972年。セーラーズの前身でもあるジーンズショップ・ハドソンが開店。当初の売り上げはゼロか、ジーンズが1本。そんな生活を数カ月続けたころ、転機が訪れる。

 古道具屋で買った、小さな看板に描かれていた水兵をキャラクターにトレーナーを作ったところ、それが大ブレイク。わずか9坪で初年度28億円の売り上げをたたきだした。爆発的に売れたのは1年半ほどだったが、長年、月数千万円の売り上げをキープし続ける優良企業へと変貌を遂げていった。

 プライベートでは27歳でノンプロの野球選手と結婚。だが、すれ違いの毎日に溝が深まり離婚。仕事に精を出していたころ、運命の出会いが。バリバリ仕事をする男性に惹かれ、42歳のときに同居。住まいに笑顔が増えた。45歳で自然妊娠。じつはこのとき、事実婚の彼は、交通事故の後遺症でハンディを抱えていた。

 1999年5月15日。1773グラムの小さな生命が誕生した。だが産声は上げず、すぐに保育器の中へ。4日目。母子の対面の日。何本もの管でつながれた小さすぎる体に驚いた。名前は決めていた『静良(セーラー)エミー』。静加の静に、母・良子さんの良。もちろん店名のセーラーズとひっかけたもの。そして、2カ月後に退院。

「生後8カ月で、娘の異変に気付いたんです」。半年でお座りができていたのに、座らせるとすーっと横に倒れていく。不安がよぎった。すぐ病院に連れて行くと「成長には差があります。様子を見ましょう」とのこと。出産時、医師から「脳の運動機能の部分にダメージがある。将来寝たきりになることも考えられる」と言われたことが頭から離れない。そのため、毎月検診に通っていたのだ。

 不安に支配されながら、無情にも時だけが流れていく。「待て、待てばかりでらちがあかない。弟に相談しました」。海外事情に明るい弟さんに背中を押され、1歳半のセーラーちゃんを連れて渡米。英語もできなかったが、なんとかたどり着いた病院で結果を待った。結果は脳性まひ。

「病名がわかり喜ぶというか、原因がわかってよかったって。足にハンディがあると聞き、すぐリハビリを探さないと、と焦っていました。もうお店どころじゃなくて……。娘さえいれば、いいんです」

 一般的には、脳性まひは妊娠期間から生後間もなくに、脳の運動野が受けた損傷が原因で起こり、千人に2〜3人の割合で起こるとされている。症状は軽度のものから、重度のものまで幅がある。

 いっぽう、出産後、介護を必要とする身で迷惑をかけたくないと、彼はそっと身を引いていった。セーラーちゃんは、不自由な足を必死のリハビリと車いすで補えば、そのほかは順調に成長していくはず。母親似で頑張り屋のセーラーちゃんは、毎日つらいリハビリにも耐え、いつかは歩けるようになると信じていた。ところが——。

「娘が『お熱があるみたい』というので『保育園お休みする?』と言うと元気になる。おかしいな、と思いました」

 そのような状況が2カ月ほど続いた翌年の正月。セーラーちゃんを異変が襲った。のりが大好きで、いつも「のりちょうだい」というセーラーちゃんが、のりの入った容器に向かい、「おおーー、おおおっ」という。「え?のり?」と三浦さんが聞き返すと、絞り出すように「のおぉ、りィィィ」と言いながら、自分の頭をたたき、手をかんだ。以来、セーラーちゃんは言葉を失った。

「前日の夜まで『お風呂入る』とか『ごはんちょうだい』とか、普通に話していました。後からわかったのですが、保育園の先生からたたかれたり、怒鳴られたりが原因だろうと。医師から軽い失語症と言われ、いつかまたしゃべるようになると思っていました……」

 しかし、セーラーちゃんは、悪化の一途を——。ある晩、「ギィィーーー。キャー」と激しい声を出し、自分の頭をバンバンたたく。「やめなさい」と止める三浦さんの腕もあっという間にふり払われてしまう。

「私と離れると、ギューッとつかんで、私の手もあざだらけになって。すると母子分離不安だとか、ありとあらゆる病名つけられて。もちろんその間、さまざまな病院に連れていったけれど、全然よくならないんです」

 そんなある日、娘の病状の悪化に号泣する三浦さんの脇で、きょとんとするセーラーちゃんの涙でにじんだ顔を見て、体中に電気が走った。娘は何もわからないんじゃない。わかっているからこそ、自分がはがゆいんだということに気が付く。

「ごめんね……。おかあちゃまが悪かったわ……。できないから始めるんじゃなくできたから始めよう。過去の娘の姿を追わず、今の娘からスタートしよう」。小さな体を抱き寄せた。母の気持ちがつたわったのか、セーラーちゃんは2年生になると、徐々に落ち着きを取り戻していった。セーラーちゃんは現在、14歳になる。

「今朝、セーラーが『パン』って言ったんです!」。平日はごはんで土日がパン食の三浦家。パンが大好きなセーラーちゃんから、思わずパンという言葉が出たのだという。

「セーラーズのときには、いくらお店が繁盛しても、自分自身、何が幸せかがわからなかった。でも、ハンディキャップのある娘を育てることで、現在は、今を幸せと感じられる自分に出会うことができ、幸せです。娘に感謝です。かなうものなら……『娘より1秒長く生きたい!!』その気持ちがいつもあります」

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