大杉漣が語る役者人生「物の見方を教えてくれたのは現場」

投稿日: 2014年06月04日 07:00 JST

 ドラマ『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)で、杏が扮するヒロインの父親を演じている大杉漣(62)。撮影中はアドリブの連発だという。

「あの現場は、いい意味での緊張感を持ったうえで、監督を中心に俳優とスタッフの輪が生まれ、非常に和気あいあいとしています。僕が演じている幸三は、舞の父であり、居酒屋の店主。ゲストでいらした方にも『こんな店、本当にあったらいいな』って言っていただくことが多くて。人の気持ちが行き交う場所になったらいいなあと思いますね」

 大杉さんの役者人生の始まりは、演劇だった。『転形劇場』という「かなり特殊なメソッドをやる劇団」で、沈黙劇として評価を得ていた。が、’88年に解散。行き場を失ったとき、映像の世界で声をかけてもらうようになったという。

「当時は、Vシネマが全盛で、黒沢清さんや三池崇史さんが、そこからデビューしていました。そこは俳優の登竜門であって、今、日本映画の第一線で活躍している錚々たる方たちの中に、僕は、一俳優として身を置いていたんです」

 ’98年、北野武監督の『HANA-BI』、崔洋一監督の『犬、走る DOG RACE』で助演男優賞を受賞。大杉漣の名は、海外まで知れ渡った。

「ところがある会見で、『これで下積みが終わりますね』と言われて、ハッとした。で、言わずにはいられなかった。『僕自身、今までやってきたことを、下積みと思ったことは1度もありません。僕はそのときに、それがやりたかったんです。だから僕は一生、下積みます!』って。その気持は今でも変わりません」

 脚本が面白いと思えば、どんな現場にも駆けつけたい。60歳を過ぎても、いい意味でのフットワーク、さまよえる精神というものを、自分のなかにつねにもっていたい、という大杉さん。

「演劇もそうでしたけど、映像でも、僕に何かを教えてくれたのは〈誰か〉というより〈現場〉だった気がします。基本的に自分の考え方とか見方というものは、現場というフィルターを通すことによって感じたものの影響が大きかったと思います。そういう意味で、自分は〈現場者〉で、現場は僕がいちばんいたい場所ですし、さらに言えば『現場が僕の生きる場所』。その気持も今でも変わりません」

 そして、これからの大杉漣は?

「サラリーマンやヤクザの役にしても、100人いたら100の顔があって、演じても、演じても、演じ尽くすということはない。だから、もっともっといろんな役と出会いたいし、もっともっと人間の姿というものをお見せできるように切磋琢磨しないといけないなあと思うんです。62歳になっていう言葉かどうか。でも、自分の可能性や未来を信じて、『これからの大杉漣はどうなるんだろう?』というのを、自分の心と体で味わってみたいですね」

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