『赤毛のアン』作者を自殺に追い込んでいた「契約訴訟うつ」

投稿日: 2014年10月11日 07:00 JST

 NHK連続テレビ小説『花子とアン』の最終週を見て、あらためて『赤毛のアン』の原作を手にした読者は多いはず。その原作者・モンゴメリも、アンのように愛にあふれた人生を送っていたのだろうか?『赤毛のアン スクラップブック』の著者、日本女子大学家政学部児童学科教授の川端有子さんが語る。

「たしかにそういうイメージを持たれるかもしれませんが、じつは晩年はうつ病に苦しみました。死後60年以上、死因は『冠動脈血栓』とされていましたが……」

 今年4月、来日した孫のケイト・マクドナルド・バトラーさんが新聞のインタビューに答え、死因が自殺であったと言葉少なに語っていた。

 1874年、カナダのプリンス・エドワード島に生まれたモンゴメリ。祖父が上院議員を務めるなどスコットランド系の名家だったが、2歳のとき母親が亡くなり、母方の祖父母の家で育った。教員養成学校に通い、教師として働き始める一方、文学雑誌などに短編や詩を投稿。掲載された作品の原稿料をこつこつため、英文科の勉強のため大学へ聴講生として入学したという。

 31歳のとき、モンゴメリは新聞社の校正部で働きつつ『赤毛とアン』を書き上げた。

「いくつもの出版社に原稿を持ち込んでも、採用にまでこぎ着けられませんでした。ようやくアメリカ・ボストンにある出版社で刊行が決まりましたが、原稿料に関しての契約はモンゴメリにかなり不利なものでした。後年、版権を争い、出版社と訴訟騒ぎになっています。長引く裁判は彼女を苦しめました」(川端さん)

『赤毛とアン』はたちまちベストセラーに。37歳で祖母が亡くなったあと、婚約中だった牧師のユーアンと結婚した。しかし、彼は心の病いを患っていた。『誰も知らない「赤毛のアン」』の著者・松本侑子さんが語る。

「結婚前から、ユーアンにはうつ病の症状があったそうですが、長い年月をかけ幻覚や妄想、離人症、認知症の症状があらわれ、モンゴメリが61歳のときに牧師を引退します。心の病いへの偏見が強かった時代、地域のリーダーである牧師の夫の病状を周囲に知られるわけにはいきません。誰にも相談できず、悩みを1人で抱えていました」

 長男の不品行に悩まされ、第二次世界大戦が始まり、当時医学生だった末息子が軍医として徴用されるのではないかという心労も大きかった。夫の介護、訴訟、世界恐慌、戦況悪化が重なり、しだいに心身の疲れから、うつ状態に。

「お孫さんによると、最後は睡眠薬の過剰摂取で亡くなりました」

 覚悟の死だったのだろう。しかし、決して不幸な人生ではなかったと松本さんは見ている。

「ベストセラーを生み続けることこそ、作家としての喜びです。アン・シリーズはシェークスピア劇などの英文学と聖書がたくさん引用される『芸術作品』です。その作品には彼女の努力と満足がありました。モンゴメリは物語の世界で、前向きで明るく、幸福な結婚生活を送るアンを描くことが喜びであり、救いでもあったのです」

 挫折や悲しみを抱えたからこそ、アンに命が吹き込まれ、今でも生き続けているのだ。

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