元「THE BOOM」山川率いるバンド「1-GATA」が歌う理由
投稿日: 2015年02月07日 12:00 JST
1月25日、青山のライブハウスでのイベントで、「1-GATA」というバンドが正式デビューした。ベースの山川浩正(49)は昨年末、日本武道館ライブで解散した「THE BOOM」のベーシスト。キーボードは熊本を拠点に活動する作曲家で、グラフィック&音楽制作会社を経営する吉田敬(36)。ボーカルの中新井美波(23)は、陸上競技中距離で駅伝区間賞や新記録を出し、昨年10年間の現役生活を引退した元アスリートだ。
この3人の共通点は、“1型糖尿病”という病を患っていること。この日のイベントのタイトルは『「1型糖尿病」の絵本を贈ろう!チャリティライブ』。主催は、1型患者と家族の会の日本IDDMネットワーク(以下日Iネット)。その専務理事で、自身も1型のエアロビック競技選手・大村詠一さん(28)はこう話す。
「1型のスポーツ選手はいますが、1型だけのバンドは、僕の知る限り世界初じゃないでしょうか」
ところで、「1型糖尿病」をご存知だろうか。生活習慣病といわれ、日本人糖尿患者の約95%を占めるのは「2型糖尿病」だ。1型は2型とは全く違う。小児発症が多く、かつては「小児糖尿病」と呼ばれていた。
「1型は突然、発症します。自己免疫で、膵臓(すいぞう)の中にあるインスリンを作る細胞を破壊してしまい、インスリンが欠乏する病気です」(大村さん)
インスリンとは、糖を全身の細胞に受け渡す働きをする唯一のホルモンだ。欠乏すると、糖を細胞に取り込めず、血液中に糖があふれ高血糖になる。治療は注射器などで、インスリン製剤を注入するしかない。その量が多すぎれば、昏睡から死をも招く低血糖になり、足りなければ高血糖が続いてしまう」
「厳密に治療を行う必要がありますが、注射を打つのは患者自身。食事のたびに血糖値を測り、適量のインスリンを見積もって打つわけです」(大村さん)
それが毎日、一生続く。
「低血糖になれば、即座に糖分を補う必要があり、学校でも飴やジュースは欠かせません。でもクラスの子から『なんで大村くんだけ?』『ズルい』と言われ、つらい思いをしたことがあります」
そういって、8歳で発症した大村さんは苦笑した。偏見から、イジメられる患児も多い。だから――。「1-GATA」は始動した。音楽を通して、1型糖尿病を正しく、より多くの人に知ってもらうために。子どもたちに病気があっても何にでも挑戦できると、大きな夢を抱いてもらうために。
リーダーの山川はメンバーで唯一の“大人発症”。「僕は、仕事で沖縄に滞在中、緊急入院となったんです」。’14年1月末から口渇が出て、大量に水をのみ、頻繁にトイレに行く。2週間で10キロ痩せ、沖縄に入る飛行機でも、離陸後ベルト着用のサインが出るまでの20分、トイレが我慢できなかったという。到着2日後の夜、病院へ。
「付き添ったスタッフが言うには、僕は真っすぐ歩けていなかったそうです。ICUに2日間入って、気づくと手足に8本くらい点滴が刺さっていました」
診断名は、急性発症1型糖尿病。それから11カ月。今ではすっかり自己注射にも慣れたが。
「最初は戸惑いの連続でした。ネットで調べ、治らない病気とわかる。治らないと思えば落ち込む。でも大村くんのように活躍する1型のスポーツ選手は何人もいる。大丈夫。なんとかなる。そんな思いが交錯しましたね」
1型初心者の山川をすくったのは。10数通の手紙だった。《一緒に頑張ろう》《またげんきになられて、すてきな音がくをきかせてください》。ニュースで山川のことを知った名古屋の『ソレイユ千種クリニック』に通院する1型の子どもたちや親御さんからのもの。
「この手紙を見たとき、全国で待っているファンの姿が重なった。ここで落ち込んではいけない。『負けちゃいけない』というモチベーションになったんです」
’14年5月31日、東京・青山で日1ネットのシンポジウムが開催された。山川はゲストとして招かれ、中新井と吉田は患者として登壇。悩める1型ホルダーや家族の相談にのった。打ち上げの席で挨拶をした山川は、多少のリップサービスで、こう言った。
「ここにいる吉田くんも同じミュージシャンです。近い将来、一緒に(バンドを)やれればいいなって思ってます」
挨拶の後、ツカツカと中新井が山川に歩み寄った。
「私もバンドやりたいです。歌いたいです!」「私、けっこう本気です!」
山川は言う。「彼女、2回も言ったんです。目をキラキラと輝かせてね。2回言うって、本気かな。面白いコだなと思いました」。新たな夢の歯車が、その瞬間、回り始めた――。
ステージで、デビューシングルとなった『キミ』が始まった。レコーディングでは13時間半、中新井が歌い続けたというバラードだ。キミとは1型糖尿病のこと。思いがこもっていた。
《気付いたら 隣にいて 君のことで随分悩まされた》
《君に「ありがとう」を云うよ 大きな希望に向かって 共に走る仲間たちが 僕の味方》
中新井の目から、突然、玉の涙がキラリと落ちた。1つ、2つ、ポロリポロリと、ライトを浴びて光る涙の粒。
さあ、ここがスタートライン。伝えたいことを真摯に伝える「1-GATA」、発進だ!
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