戦争未亡人を救うために保険会社を 新朝ドラ主人公モデルの“女傑”伝説

投稿日: 2015年09月22日 06:00 JST

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 9月28日からスタートする朝の連続テレビ小説『あさが来た』(NHK)のヒロイン・今井あさは、実存した女性実業家・広岡浅子がモデル。何の不自由もなく育った三井家の令嬢が、不幸にも“ダメ夫”のもとに嫁ぎ、そこで浅子は一念発起。炭鉱、銀行と次々と事業を成功させていく。浅子は“教育者”としての一面も持ち、初の女子大学設立や、また大同生命保険の創設に尽力した。

  女性実業家のさきがけとして、激動の明治時代を駆け抜けた広岡浅子。その“豪快ぶり”を、ドラマの原案本『小説土佐堀川』(潮出版)の著者・古川智映子さん、産経新聞紙上で浅子の半生を連載した石野伸子さん、大同生命保険広報担当者らの証言を基に、プレーバックしてみよう!

【重要な現場を人任せにはしない】
 1884年、経営難の加島屋を救うため炭鉱事業に進出する。西洋の服で歩き回る浅子は「西洋かぶれ」と揶揄されることも多かったが、丁々発止で元締めらと交渉を続けるその熱意を、炭鉱作業員たちも認めるようになる。
「1896年には4千トン弱の採掘量が、翌年には1万7千トン、さらに次の年は4万2千トンと急増し、優良事業となりました」(大同生命)

【“弱者への寄付”には金を惜しまない!】
 三井家の女として徹底した始末(節約)を学んだが、加島屋の事業が軌道に乗ると、社会貢献にも目を向けた。寄付を求める人間が、ひっきりなしに自宅にやってきた。
「裏口を訪ねてくる人には『玄関から入りなさい!』と一喝したそうです。社会のためにそのお金が必要なら正々堂々と説明してほしいということでしょう。浅子は、資産家の虚栄心をくすぐるような慈善事業は好まず、戦争未亡人や遺児のための教育施設などに援助をしました」(古川さん)

【戦争未亡人を救うため保険会社を設立】
 加島屋は1899年、真宗生命を買収。朝日生命(現在の朝日生命とは別の会社)と改称して保険事業に進出した。日清戦争で家長を失った家族の困窮を目の当たりにした浅子は、真の社会救済を願った。
「朝日生命は1902年、護国生命、北海生命と合併。“小異を捨てて大同に就く”という故事にちなんで、大同生命が誕生します」(大同生命)

【がんと闘ってクリスチャンになった】
 1904年に夫が死去。長女・亀子の婿養子である恵三に社業を譲り、第一線から退いた。その5年後に乳がんが見つかると、浅子は、死を覚悟して手術を受けるが、麻酔で意識が失われていくなか、髪の“偉大な力”を感じた。その後、洗礼を受け、自らの傲慢さを反省し、女性の社会進出を後押しする活動を始めたという。

【あの『赤毛のアン』の翻訳者にも影響を与えた】
 富士山を望む静岡県・御殿場の3千坪の土地に、広大な別荘を建てた浅子。1914年から毎年夏、日本女子大の学生を中心に約20人を招き、勉強会を開いていた。1915年には、教師時代の村岡花子や婦人運動家の市川房枝も参加している。“学ぶ場所”がなかった時代を生きてきた浅子の「あなたたちが身につけた学問は“自分のためだけ”に使ってはいけません。社会のため、女性の地位向上のために役立ててください」という言葉は、志のある女性の心に響いた。

【自由に結婚相手を選べる時代を夢見た】
 広岡家の婿養子、恵三の妹である一柳満喜子は、恵三の自宅を設計した建築家のW・M・ヴォーリズと恋に落ちた。だが、華族である満喜子の国際結婚は、当然家族から猛反対を受ける。そのなかで、唯一賛成したのが浅子だった。
「亡くなる直前まで“あの2人を一緒にさせてやってほしい”と言い続け、ついには恵三の約束を取り付けました。浅子は、このときすでに女性が結婚相手を自由に選べる時代を、予見していたのではないでしょうか」(石野さん)

【『言いたいことは言った』と遺言を拒否】
 常に先を見すえ、女性の生き方をけん引してきた浅子は、1919年1月14日、71歳で逝く(数え年)。最後は潔く、こう言い残したという。
「遺言はありません。日ごろ、話していたことが、すべて遺言です−−」

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