『あさが来た』プロデューサー「はつと菊」嫁姑バトルの真意

投稿日: 2016年01月23日 06:00 JST

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「『あさ』は時代の流れに柔軟に対応して、いろいろなことに挑戦していきますが、お姉さん『はつ』は時代や周りの人たちに翻弄されながらも自分の生き方を模索していく。言い方を変えると妹はホップ、ステップ、ジャンプの人生だけど、姉は遠回りしながら“長い距離”を歩んでいく。僕もそうですが、多くの人は『はつ』と同じような人生を歩んでいるし、歩むことになると思うんです。ですから、人生というのはあきらめなければ状況は切り拓いていける――ということを『はつ』を通して発信したいと思いました」

 

そう語るのはNHK連続テレビ小説『あさが来た』で、制作統括を務める佐野元彦エグゼクティブ・プロデューサー(56)だ。姉・はつの人生もヒロイン・あさに匹敵するほど視聴者の注目の的となっている。

 

「はつ」のモデルは、広岡浅子の2歳年上の姉・三井春。彼女は19歳で大阪一の両替商『今橋天王寺屋』(ドラマでは山王寺屋)に嫁ぐが、時代の流れに対応できず家業は倒産。その後、25歳の若さで早世した。しかも、死因も含めて彼女に関する史料は極めて少ない。

 

「『はつ』に関しては脚本家の大森美香さんと話し合ってかなり作り込みました。彼女が明治以降ずっと生き抜いたとしたら何になったのだろうか……と考えたときに、僕は”農業”だと思いました。両替商という仕事で失敗した一家が、もう一度再生しようと考えたときに、どういう仕事を選ぶだろうか……。『はつ』は“受け身”の女性ですけど、実は生きる力のある人ですから。同じ仕事をしたのでは一家の再生は難しい。むしろ両替商とは対極の、地に足をつけた仕事をすることで一家を再生できると考えたんじゃないか、と」

 

ドラマ前半で大きな話題となったのが、はつに対する姑・菊の厳しい対応。佐野プロデューサーは、制作者としてどんな思いを込めていたのか。

 

「はつの姑・菊役の萬田久子さんの“嫁いびり”が話題になりましたけど(笑)、僕は、彼女をいじめ役として描いているつもりは毛頭ないんです。なぜかというと、菊には菊なりの“理”と“誇り”があるから、家業をつぶしてしまった息子や嫁に対して怒り散らす。風吹ジュンさん演じるあさの姑『よの』も同じです。彼女は、なかなか子宝に恵まれない息子夫婦を憂慮して、息子の新次郎に妾を持つよう勧めますが、彼女には七代続いてきた『加野屋』を守っていかなければ、という使命感と責任感があるわけです」

 

そういう意味では「2人の姑は『人生に誠実だ』と僕は思います」と、佐野プロデューサー語る。

 

「“嫁と姑”の関係は時代を超えたテーマですけど、個人的には『どちらも正しい』と。ですから対立して当然だし、対立することで互いに少しずつ相手をわかり合っていけるんじゃないかと思います。なかには憎しみが増していくケースもあるでしょうけど(笑)、嫁と姑に限らず、人と人との関係は『ぶつかり合わなければ始まらない』という気がします」

 

注目を集めた、はつと菊の嫁姑バトルだが、和歌山移住後を描いた今後も、さらなる新展開が――。

 

「初出しの話をすると、息子夫婦が営むみかん園を手伝う菊は、あきらめずに『山王寺屋』の再興をひそかに、したたかに考えている。この“誠実さ”がいいんですけど(笑)。台本を読んだ惣兵衛役の柄本佑さんは『わが家は平和になるかと思ったら、ならないんですね』と苦笑していましたけれど、はつと惣兵衛一家には、これから二波ぐらい大きな波がやってきます。はつが、この大波をどう乗り切っていくか、乞うご期待ですね(笑)」

 

朝ドラ『あさが来た』は、今後も目の離せない展開が待っていそうだ――。

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