下川美奈語る女性記者の過酷さ ピロートークで情報取ったと怪文書も

投稿日: 2017年01月15日 06:00 JST

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「私はずっと報道記者。キャスターを務めていたこの数年も報道局・社会部デスクと兼務だったので、生活はそれほど変わらないです」と語るのは、昨年末で「情報ライブ ミヤネ屋」「スッキリ!!」「深層NEWS」キャスターを卒業した日本テレビの下川美奈(44)。

 

テレビで見ていた人の中には、彼女をアナウンサーだと勘違いしていた人も少なくないかもしれない。だが、彼女は現場での取材記者経験が長いキャスターだ。

 

「記者クラブは、いわゆる『現場』。私は警視庁の記者クラブで女性初のキャップ(クラブ記者の長)を経験し、現在は社会部デスクという中間管理職のような仕事をしています。メインデスクの日は朝の7時出社で、20時ぐらいまで働きます。ひっきりなしに電話がかかってきますし、放送する原稿のチェック、番組へのプレゼンテーションなどトイレに行く暇もないぐらいの忙しさです」

 

テレビのニュースは、新聞と同じように「記者」が取材している。各テレビ局は警察や省庁の記者クラブに加盟しており、放送記者は記者クラブにつめ、得た情報で取材に走る。「メインデスク」とは、その日に流れる社会部発のニュースをすべて管理する責任者。メインデスクを下川が担当するのは1週間に2日ほど。それ以外の日は他のメインデスクを補助する「サブデスク」などとして動く。

 

なぜ下川は女子アナではなく記者を目指したのか。きっかけは早稲田大学政経学部在学中に行われた米大統領選と日本の総選挙(92・93年)だった。そこで「政治の取材をやりたい」と思った彼女は日本テレビへ。だが待っていたのは政治部ではなく社会部。しかも、入社2年目で警視庁クラブの配属に。事件取材中心の警視庁クラブは“もっとも苛酷な現場”といわれ、当時は女性記者も数えるほどだった。

 

「97~98年前後は警視庁クラブに女性記者が増え始めた時期でした。日本テレビには私を含めて2人、フジテレビにもたしか2人の女性記者がいました。記者の待遇は男女に違いがなく、女性だからといって夜勤が免除されません。当時の日本テレビのクラブ員は9人でしたが、毎週1回は泊まり勤務があって“下っ端”が土曜日泊まりと決まっていました」

 

入社2年目の下川は当然、土曜日の泊まり勤務。翌日曜の夕方まで警視庁クラブに缶詰めだった。当時の話は、先日出版された下川の回想記『テレビ報道記者』(ワック出版)に詳しく書かれている。たとえば記者クラブに設置されたシャワー室から出てくると男性記者にジロジロ見られ声を掛けられるなど、女性だからこその悩みも少なくなかったという。

 

「スクープを取ったときに、『下川は、あの男と寝てピロートークで情報を取ったんだ』という話や怪文書をまかれたこともありましたね。國松警察庁長官狙撃事件着手のときは日本テレビを除く警視庁クラブの加盟社と警視庁にハガキの怪文書が送られたようです。でもねえ、もしそれが事実なら日本テレビにも送ればいいのにと思いましたけど(苦笑)」

 

そんな生活を送るなかで、彼女は結婚生活に終わりを迎えた。結婚相手は会社の同僚。結婚の一年前までは同じ記者クラブに所属しており、仕事に対する理解もあったという。

 

「結婚1年後、急に警視庁キャップに抜擢されたんです。たしかに『警視庁キャップをしていなければ、離婚していなかったかもしれない』という気持ちがないわけじゃないです。でもそれは私自身が決めた生き方、後悔はありません。同じ記者クラブにいるときから彼にはすごく支えてもらっていたし、私も応援していました。だからあのとき結婚したことは必然だったと思います。でも当時は目の前の仕事、これまで自分がすごくやりたかった警視庁キャップという仕事を優先させたかったんです」

 

下川は人生の決断や結果について「ガラスの天井」や「性差別」という紋切型の表現を使わない。インタビューで何度も口にしたのは「男と女は同じじゃない」という言葉だった。

 

「もちろん私も本質的な意味での男女平等という考えは持っています。ただ、だからと言って『男女間にまったく違うところがない(ようにしなければならない)』とは思いません。女性を売り物にするつもりがなくても、男性が多い中では女性というだけで目立ちます。それだけで、すでに「違うところがある」わけですから。そう認識しておいた方が楽だし、便利だし、最終的には自分のためにもプラスでしょう」

 

スカートを穿いていても、夜回り取材の際はズボンに穿きかえる。たとえばこの行為は“悪しき性差別”が、女性記者に押しつけている圧力なのか。その問いに、下川は首を振る。

 

「それは違います。体のラインがわかるような服や大きく胸の開いた服で夜回りに行ったら、当局の人の家に上げてもらったときに『誘っているのか』と誤解されるかもしれない。『女』を前面に出して仕事をしても結局、いいことは男性にも女性にもありません。後輩にも『自分が思っている以上に女性と男性が違うということを認識し、気をつけておいた方が楽だよ』と伝えています。自分が注意してガードしておかないと自分も困るし、相手にも気の毒ですから」

 

その感覚は女性だけでなく男性も高める必要があることだが、彼女はこう笑って答えた。

 

「それは、そうですね。あるとき、某新聞社の男性記者に言われたことがありました。『当局の上層部が女性だったら、俺だっていっぱいネタとれるのに』って。いまは当局も女性幹部が増えましたが、私の見るところ、女性幹部のガードは固いみたいですね(笑)」

 

 

『テレビ報道記者』ワック出版より発売中(税込み1,404円)

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