西川美和「執筆期間は70歳を超えた母に面倒を見てもらって」

投稿日: 2016年10月07日 06:00 JST

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「私は本当に集中力がないので、ちょっとしたこと、たとえば郵便物ひとつ開けただけで、気が散ってしまうんです。たぶん、いろいろなことから逃げたいって思ってるんですよね、本当は。だから、強制的に逃げる手段をなくさないと書けない。ヤフーニュースが気になるので、インターネットも切ってしまいます」

 

そう語るのは、隔週連載『中山秀征の語り合いたい人』第69回のゲスト・映画監督の西川美和さん(42)。妻を亡くした男と、母を亡くした子どもたちの交流を通し、人を愛する素晴らしさと歯がゆさを描き切った映画『永い言い訳』(10月14日全国ロードショー)。原作小説も好評で、今作もオリジナル脚本を手掛けている。2人の初対談は、ゆっくりと進んでいきました。

 

中山「執筆するときは広島の実家にお戻りにあるとか。今もですか?」

 

西川「『永い言い訳』のシナリオを書くときも、3カ月くらい広島でこもっていましたね」

 

中山「実家のほうがリラックスできるとか?」

 

西川「いえ、私はそもそもだらしない人間なので、東京にいると、お酒を飲みに行ったり、遊んだりしてしまうんです。いい年をして恥ずかしいのですが、70歳を超えた母親に三度の食事、洗濯、掃除、すべての身の回りのことをしてもらい、私は睡眠以外すべての時間、作品を書くことに集中させてもらっています」

 

中山「それはいつからの習慣なんですか?」

 

西川「20代後半、まだ映画の助監督をやっているときからです。給料が少ないのに東京にいればいろいろ使ってしまうので、実家に帰ってシナリオを書くようにしていたんです。広島なので、いろんな追っ手が来ないのもよくて(笑)」

 

中山「確かにちょうどいい距離感かも(笑)。ちなみに、監督は一人娘さんですか?」

 

西川「いえ、兄が東京にいますが、もう家族を持っていますので」

 

中山「監督は独身でいらっしゃいますが、ご両親からのプレッシャーなどは?」

 

西川「実は両親が最近になって心配し始めまして。特に母親ですね。若いころからずっと『自分がいちばん楽しいことをやればいい』と言ってくれていたので、生活が破たんしてようが結婚せずにいようが、本人さえ充実しているならいいと理解を示してくれていたんです。私も40歳を過ぎ、両親も70歳を過ぎ、ここにきて『あなた、ずっとひとりなの?』って。『え!?それ今言うの?』って、ビックリですよ(笑)」

 

中山「20代、30代は言われなかったのに」

 

西川「言うのが遅いんですよね。それならもっと本気で考えたのに。そうして、親に少しずつ心配をされるようになり、私もここにきて、やっとなんとかしないといけないのかなって思うようになりました(笑)」

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