『TATSUMI マンガに革命を起こした男』 別所哲也 特別インタビュー

投稿日: 2014年12月08日 14:00 JST

「漫画の神様」手塚治虫を嫉妬させ、劇画の名付け親となった男。アメリカ、フランスを始め世界で注目されるクリエイターでありながら日本ではその名を忘れられている男…辰巳ヨシヒロ。2009年手塚治虫文化賞大賞を受賞した辰巳ヨシヒロの自伝的エッセイマンガ「劇画漂流」と、彼の代表的な5つの短編を最新技術によって映像化。監督はシンガポールのエリック・クー。声の出演は俳優・別所哲也が、ナレーション他、一人六役に挑戦している。今回は、声優として今作を支えた別所哲也に話を聞いた。

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――別所さんがこの映画「TATSUMI」の声優を引き受けられたきっかけというか経緯はどういうところからだったんですか。

別所:この長編アニメーション作品を企画していた、シンガポールのエリック・クー監督に、間に入っているプロデューサーの日本人の方が僕を推薦してくださって、オファーを頂いたんです。僕の方はエリック・クー監督のことはカンヌ映画祭でショートフィルムの映画祭の関係で、色んな世界の映画祭の方々と交流している中で存じ上げていて、そのエリック・クー監督からのオファーだということでどんな作品だろうと思って出会ったのがきっかけです。

 

――別所さんは辰巳ヨシヒロという漫画家自体をご存知でしたか?

別所:僕自身ですか?もう恥ずかしながら辰巳ヨシヒロ先生という方がいるんだということを知ったのはこの作品がきっかけです。

 

――我々の世代ですら、漫画っていうのは週刊マガジンだとかサンデーというような商業漫画雑誌になったあとのものを知った世代でもあるじゃないですか。その以前のいわゆるその劇画という文化、その我々たちが忘れかけている文化を海外から高く評価されて、今回こう作品の製作に繋がったということに関して別所さんはどう思われますか。

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別所:僕らは子どものときに劇画っていうジャンルが既に存在していたので、ゴルゴ13とか、広く言えばルパンとか、手塚治虫先生以来、大人が読む漫画、「劇画」がもう存在していたんですね。そこで、辰巳先生をこんなにフィーチャーした映画が製作されて、実は世界中の色んな人たちが好きなんだっていうことを知って驚きました。この作品をこんな風に映画にしたいと思ったのがシンガポールの監督だったっていうことにも驚いたし、知れば知るほどヨーロッパとか例えば北米とか南米もそうなんですけど、辰巳先生の世界っていうのはもう色んな形で知れ渡っていて、特にヨーロッパでは崇拝する方もいるというのを知って、浮世絵など様々な日本の文化を世界の人が認めて初めて再確認するところに近い、なんとも歯がゆいような恥ずかしいようなところもあり、改めてこうやって知る機会があって、そして僕の場合は参加ができたので良かったなと。

 

 

――辰巳さんの「マンガ道」のような作品があって、あれを読むと丁度我々の世代、商業的な漫画週刊誌が出て、劇画と呼ぶような激しい表現で、それが成功していくような、いわゆる大人のマンガ=ちょっとアダルトなものとしてのイメージ以前の劇画じゃないですか。例えば水木しげるさんの『ゲゲゲの鬼太郎』だったりに色濃く残っている雰囲気だと思うんですけれど、ああいう色調風景をもった作品のアニメ化というところで別所さんは声優で出演された、しかも6役。俳優として声優として別所さんが演じるに当たって苦労されたことや演じ分けるときにされた工夫などをお聞きしたいんですが。

 

別所:まず一つの作品で声の出演とはいえ、何役もやってくれというオファーに驚いたんですよね。実際シンガポールに行って参加したときには、監督から「もっとやってくれないか。お前だったらできるだろう」的な要求があったんですけれど、限られた時間でキャラクターを作るというので非常に苦労はしました。行く前には色々練習もして行ったんですけど、やっぱり自分の肉体で声を出してみないとどういう風にキャラクターを作ったらいいか分からない。僕の場合、身長が186もあってこういうガタイなので、中々オファーが来ない弱者というか、高度経済成長期の光と影の影を背負った役柄、あるいは陰鬱とした都会の片隅にいるような普段は光の当たらないところにいる人を演じるというのもあったので、キャラクターとして演じるときに、声だけとはいえ体の姿勢とかキャラクターを作る上の生活習慣とか目線とかそういうのはあれこれ事前に自分なりに考えて声を作っていくという作業はしました。

 

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