世界の3分の2以上の国が廃止へ…それでも日本は「死刑制度」を存続させるべきか?

投稿日: 2014年12月02日 00:00 JST

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最近、日本の死刑制度を巡る二つの気になるニュースがありました。

 

一つ目は超党派の「死刑廃止を推進する議員連盟」が、終身刑に当たる「重無期刑」を創設する法案を来年の通常国会に提出する方向で調整中というニュースです。新法案は「死刑と無期刑の中間刑として、仮釈放を認めない重無期刑を創設。死刑判決は裁判官と裁判員の全員一致の場合に限定すること」を柱としています。

 

日本には終身刑というのがありません。無期刑というと生涯に渡って服役する印象がありますが、日本の刑法では無期懲役の受刑者にも仮釈放の可能性は認められていて、服役10年を経過すれば仮釈放による社会復帰の可能性が開かれているのが現状です。重無期刑の創設によって一見、刑を重くすることを目的としているようにもみえるこの法案。しかし同議連の狙いはあくまでも死刑制度の廃止で、現行の無期刑が軽過ぎるという理由で死刑判決を下してしまわないように中間刑として重無期刑創設を提案しているように思われます。

 

二つ目は、無期刑が実質的に「終身刑化」しているというもの。前述のように日本の無期刑には仮釈放の可能性が残されていますが、実際、その数は極めて低いようです。昨年1年に仮釈放された無期懲役の受刑者は8人で、8年連続1桁。このように仮釈放が減った背景には社会での厳罰化の傾向と、それを受けての法律改正があります。

 

04年の刑法改正で、有期刑の上限が20年から30年に引き上げられました。無期刑は有期刑より厳しいという位置づけがあり、結果、仮釈放までの期間も延びたのです。また仮釈放の判断に当たって、希望する被害者が意見を述べることが法律的に可能になったのも数が減った一因と言えるでしょう。そういう意味で、先ほどの「重無期刑」という終身刑導入は、ある意味、現行の無期刑で実質的に行われているようにもみえます。

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さて、日本では以前から死刑制度の存廃を巡る激しい議論が行われてきました。国際的潮流としては、死刑は廃止に向かって進んでいます。世界の3分の2以上の国が死刑制度を廃止、先進国で維持されているのは日本と米国だけです。国連や人権団体も日本に対して死刑廃止を求めてきました。にもかかわらず、なぜ日本は死刑制度を存続させているのか。一番の理由は、「国民感情への配慮」にあるように思います。

 

例えば10年に行った死刑制度に関する内閣府の世論調査で、死刑の是非について三つの選択肢を尋ねました。結果、「場合によっては死刑もやむを得ない」を選んだ容認派は85.6%。「どんな場合でも死刑は廃止すべき」とした廃止派は5.7%で、「わからない・一概に言えない」は8.6と圧倒的に容認派が占めています。背景には犯罪被害者の感情に対する共感や、死刑廃止による凶悪犯罪の増加への懸念が伺えます。

 

死刑制度の是非については一つの正解があるわけではなく、時代的な要素や文化的な要素に影響される面があります。死刑容認派も死刑廃止派も命を疎かにしているわけではありません。ただ凶悪犯罪が後を絶たないなか、制度をどのように運用していくかの意見が分かれているのです。その点は冷静かつ具体的に考えなければなりません。

 

特に日本では09年5月から裁判員制度が施行され、国民なら誰でも裁判員として刑事事件に関わることになりました。事案によっては、被告人を死刑にする否かの判断を迫られる可能性があります。つまりこの問題は、決して他人事ではないのです。一人一人の国民が関心を持って、意識を高めていくことが大事だと思います。

 


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吉本ばなな

1964年東京生まれ。’87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、’89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、’95年『アムリタ』で紫式部文学賞、’00年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞をそれぞれ受賞。海外でも多くの賞を受賞し、作品は30カ国以上で翻訳・出版されている。近著に『鳥たち』(集英社刊)、『ふなふな船橋』(朝日新聞出版社刊)など。

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ジョン・キム

'73年韓国・大邱生まれ。19歳で日本へ国費留学し、ハーバード大、慶應義塾大など世界の大学を渡り歩く。組織に縛られない「ノマドワーカー」の代表的存在として注目を集め、社会人版「キムゼミ」には多くの人が詰めかける。『媚びない人生』(ダイヤモンド社刊)、『来世でも読みたい恋愛論』(大和書房刊)など著書多数。
 

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