駅伝の歴史を変えた青学優勝に学ぶ「今日を犠牲にしない生き方」

投稿日: 2015年01月27日 00:00 JST

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今年は久しぶりに箱根駅伝のテレビ中継を観ましたが、青山学院大学が10時間49分27秒という史上最速タイムで初の総合優勝を果たしました。創部96年という長い歴史こそあれど、今までの最高順位は5位。まさか栄冠を手にするとは誰も予測できなかったのではないでしょうか。

 

元営業マンで04年から青学の駅伝再建を主導してきた原普監督は「ワクワク大作戦、大成功しました!」と語っています。「長距離のイメージが厳しく辛いだけでは、他のスポーツに選手がいってしまう。楽しくやりたかった」「宝塚音楽学校と同じ。見えないところで泥臭く努力しても、表舞台では華やかにしていたい」という監督の言葉通り、選手たちも終始、楽しそうな笑顔だったことが印象的でした。

 

いっぽう青学とは対照的に、ショックを隠しきれないのが伝統校でしょう。そこで今回は「伝統と創造」という観点から青学の圧勝と今後について考えたいと思います。

 

伝統は神様から与えられるものでも自然に生まれたものでもなく、長年にわたる先人たちの努力で作られてきた“人為的なもの”。つまり伝統も当初は「創造」だったのです。創造はもともと「異端」から始まります。異端は既存の伝統と「摩擦」を引き起こします。摩擦の過程で殆どは消えますが、価値を証明したものは新たな伝統として「受容」されます。すなわち創造は「異端→摩擦→受容→伝統」というサイクルを辿るのです。

 

ここで重要なのは、新しく伝統となった異端は新たな異端の成長を抑圧するようになるという点。会社生活にたとえるとわかりやすいでしょう。入社直後はチャレンジ精神にあふれていた人も一定の成果を出し、昇進を重ね、中年に差し掛かると、いつの間にか守りに入る「保守化」の傾向が見られるようになります。

 

これは、どの分野でも同じ。築いてきたものや背負うものが多くなると、人間は新たな挑戦よりも築いてきたものを守ることに注力するようになる。「伝統の保守性」ともいえるもので、伝統への妄信傾向があると「新たな革新」は生まれにくくなるのです。

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駅伝に話を戻します。駅伝伝統校というのは当然、有利と思われがちです。しかし今回、その認識は必ずしも当てはまらず、伝統が重圧になり身動きが取れなくなることもあるとわかりました。私は「伝統は疑問を持たず受け継ぐことに意味がある」「練習は楽しくてはならない」「過程を犠牲にして結果を出すことに集中する」「個人を犠牲にして集団の目的達成を最優先する」といった固定観念が定着する駅伝の世界に、「伝統を鵜呑みにせず挑戦し続ける」「練習は楽しくなくてはならない」「目標のために過程を犠牲にしない」「個人の自己実現こそが集団の目的達成の一番の近道」といったある種のパラダイムシフトが起きていると感じます。

 

特に「目標のために過程を犠牲にしない」という考え方どおり、過程を全力で楽しんだ結果、誰よりも早く目的地に到達したのが青学だったのではないでしょうか。

 

人生もマラソンと同じで、目的地までの過程を苦しいと思ったら、それは苦しい。しかし目的地に向かって踏み出す一歩一歩に意味や喜びを感じることができれば、素晴らしい人生になると思います。それは、明日のために今日を犠牲にしない生き方にも繋がる。今日を楽しまないと明日は楽しめないという思考を持てるかどうか。それが日々を満喫しながら明るい未来に早く到達する秘訣です。

 

人生というマラソンを走る自分と駅伝を走る選手を重ねるようになったら、もう年を取ったという証拠なのかもしれません。そういう複雑な気持ちにもさせられた今年の駅伝でした(笑)。

 


ジョン・キム 吉本ばなな 「ジョンとばななの幸せって何ですか」(光文社刊・本体1,000円+税)

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吉本ばなな

1964年東京生まれ。’87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、’89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、’95年『アムリタ』で紫式部文学賞、’00年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞をそれぞれ受賞。海外でも多くの賞を受賞し、作品は30カ国以上で翻訳・出版されている。近著に『鳥たち』(集英社刊)、『ふなふな船橋』(朝日新聞出版社刊)など。

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ジョン・キム

'73年韓国・大邱生まれ。19歳で日本へ国費留学し、ハーバード大、慶應義塾大など世界の大学を渡り歩く。組織に縛られない「ノマドワーカー」の代表的存在として注目を集め、社会人版「キムゼミ」には多くの人が詰めかける。『媚びない人生』(ダイヤモンド社刊)、『来世でも読みたい恋愛論』(大和書房刊)など著書多数。
 

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