白鵬優勝で思い出した光景…病院で絶望する私に、妻は手を握り囁いた

投稿日: 2015年02月10日 00:00 JST

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「まあ、バカかと言われるかもしれませんが……。強い男の裏には、賢い女性がいる。そんな意味で賢い奥さんに感謝したいです」

 

これは史上最多となる33回目の優勝を15戦全勝で飾った横綱白鵬の言葉です。表彰式のインタビューで、彼は妻・紗代子さんへの感謝をこう表しました。常に冷静でめったに感情を表に出すことのない白鵬関だけに、館内にはどよめきと大きな拍手がわき起こったそうです。

 

私は妻への感謝を述べる白鵬も好きですが、その前置きとして語った「まあ、バカかと言われるかもしれませんが」という言葉がとても好きです。彼の謙虚で優しい人間性を見事に表している気がするからです。人は業績を積み重ね、強くなるにつれ、てんぐになりがちです。しかし、そういうときこそ自分の成長の土台になった人への感謝を忘れない姿勢が立派だと思うのです。

 

この言葉を聞いて、私は数年前の自分を思い出しました。ある朝、私は生まれて初めて救急車で病院に運ばれました。緊急治療室で治療を受けながら「もう二度と元の生活に戻れないのではないか」と絶望していた私に、妻は手を握りながら耳元でこう囁いたのです。「何が起きても大丈夫。私がずっとそばにいるから。だから何も心配しないで」と。

 

 

その言葉を聞きながら、私は妻への感謝とともに「もっと彼女を愛してあげたかった」「もっと愛を伝えたかった」と後悔の気持ちでいっぱいになりました。病気は私に「当たり前の日常が実は当たり前ではなかった」ということ、そしてそれは「自ら気付こうとしなければ、喪失によって気付かされるものである」ということを痛感させてくれたのです。

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幸い大事には至らず、間もなく平穏な日常に戻ることができました。私は“もう一つの命”をいただいたと神様に心から感謝しました。そして「これからの人生は、いずれ予告なしに訪れるであろう最後の瞬間に一点の悔いも残らないように生きよう」と決意しました。

 

私は自問しました。「いま自分の人生にとって何が一番大切なものなのか。それに自分はどれほどの時間(=命)を配分しているのか」と。熟考の末、私は自分には“2つの時間”が一番大切で、その実行は先送りすべきではないという結論に至りました。“2つの時間”とは、一つが家族との時間、もう一つが思索と創作の時間です。そして、私は決意しました。いま就いているすべての職を辞め、日本から離れ、新天地のパリで愛する妻と思索や創作に満ちた人生を送ることを。

 

病気を経験することで、思い知ったことがもう一つあります。それは、それまでの自分は「妻を守っているのは自分なんだ」とちょっと威張っていたのですが、実は「自分は妻によって守られてきたんだ」ということです。

 

男というのは単純です。自分の伴侶に「あなたは何でもできる!」と言われただけで本当にその気になって、思い切ったチャレンジを厭わない。「挑戦に失敗し、まわりから非難されても、家に帰ったら自分を絶対的に信じてくれる家族がいるんだ!」と思ったら、怖いものなしです。逆に自分の伴侶に「あなたにできるはずがない!」と言われただけで生きる力さえも失ってしまうのが、男という生き物です。

 

 

なので、読者のみなさん。もしご自身に伴侶がいらっしゃるのなら、「あなたは何でもできる!」と言ってあげてはいかがでしょうか。聞いた直後は威張るかもしれませんが、「あのとき、あの言葉があったから頑張ることができた」と後に感謝される日が必ず来るはずです。

 


ジョン・キム 吉本ばなな 「ジョンとばななの幸せって何ですか」(光文社刊・本体1,000円+税)

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吉本ばなな

1964年東京生まれ。’87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、’89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、’95年『アムリタ』で紫式部文学賞、’00年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞をそれぞれ受賞。海外でも多くの賞を受賞し、作品は30カ国以上で翻訳・出版されている。近著に『鳥たち』(集英社刊)、『ふなふな船橋』(朝日新聞出版社刊)など。

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ジョン・キム

'73年韓国・大邱生まれ。19歳で日本へ国費留学し、ハーバード大、慶應義塾大など世界の大学を渡り歩く。組織に縛られない「ノマドワーカー」の代表的存在として注目を集め、社会人版「キムゼミ」には多くの人が詰めかける。『媚びない人生』(ダイヤモンド社刊)、『来世でも読みたい恋愛論』(大和書房刊)など著書多数。
 

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