賛否両論!フランスの「痩せすぎモデル禁止法」は間違っているのか

投稿日: 2015年05月19日 00:00 JST

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フランス下院は去る4月3日、痩せすぎのモデルの活動を禁止するとともに、雇用した業者に最大7万5千ユーロ(約980万円)の罰金や最大6カ月の禁錮刑を科す法案を可決しました。

 

フランスでは約4万人の拒食症患者がいて、そのほとんど思春期の女の子であることが社会問題になっています。同法案を推進する側によれば「痩せすぎのモデルに憧れる10代の女の子が無理なダイエットによって拒食症に陥ってしまいかねない。雇い主を罰する規制を設けることで状況の改善を図るというのが狙いだ」としています。

 

具体的にはフランスで活動するモデルに対し定期的な体重チェックを行い、身長・体重から導き出される肥満指数「BMI」が18以上であることを義務づけます。たとえば身長175cmの人のBMIが18以上であるためには、体重が少なくとも56kg以上であることが求められます。

 

これには反対意見もあります。急先鋒に立っているのはフランスのファッション業界で「同法案の成立による規制でフランスのファッション業界の国際競争力に大きな打撃が生じる」としています。ほかにも「拒食症の原因には不安やストレスなど心理的な要因やその他の社会的・医学的な要因があり、身長と体重の比だけで算出されるBMIが拒食症の原因であるという直接的な根拠はない」として同法案を厳しく批判しています。

 

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歴史を振り返れば、実は過去にも女性の身体を巡る類似した議論がありました。それは19世紀後半にフランスで起きた「コルセット論争」です。当時のヨーロッパ上流社会では、女性のくびれを強調するためにコルセットを着用することが流行っていました。締めつけることによって細い腰と豊かな胸が強調され、結果的に美しいシルエットが演出されると考えられていたのです。当然、厳しい批判もなされました。特に医学の世界からは「長年にわたるコルセットの着用により胸の病いが引き起こされ、妊娠・出産の際も母体に致命的な障害が生じる恐れがある」と指摘されました。

 

当時の女性の絵画や写真を見たことのある方はわかると思いますが、たしかにコルセットによって女性の上半身が美しく見える半面、身体を過酷に抑圧している側面も容易にうかがえます。それもあって当時はコルセットに対して、「雀の腰」や「砂時計」などのような皮肉を込めた形で喩えられたりもしていました。

 

このように女性の身体は、社会のまなざしによって修正を強いられてきた歴史的側面があります。特に女性は自分の身体やそこにまとうものを駆使することによって、外部に対して自らのイメージを発信してきた傾向があります。そういう意味では化粧や衣装だけではなく、近年流行っている美容整形なども「自分の身体に修正を加えることによって、外部に対するイメージを発信しようとする動き」として捉えることができます。

 

人間の身体は「美の象徴」でもあれば「健康の象徴」でもあります。なかでも美は健康に比べて視覚性が強いこともあって、社会のまなざしに対して敏感な女性によって特に重要視されてきました。美には自然なものもあれば人工的なものもある。そのどちらが“真の美”であるかは、一概に語ることができません。

 

身体を苦しめることによって美を勝ち取ろうとした人類の長い歴史があるなかで、我々が目指すべき理想的な姿は「健康を犠牲にしない美の追求」ではないかと思います。そういう意味で、今回の痩せすぎモデルの禁止法案は規制手段にこそ改善の余地は見られるものの、大きな方向性としては間違っていないと考えます。


ジョン・キム 吉本ばなな 「ジョンとばななの幸せって何ですか」(光文社刊・本体1,000円+税)

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吉本ばなな

1964年東京生まれ。’87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、’89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、’95年『アムリタ』で紫式部文学賞、’00年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞をそれぞれ受賞。海外でも多くの賞を受賞し、作品は30カ国以上で翻訳・出版されている。近著に『鳥たち』(集英社刊)、『ふなふな船橋』(朝日新聞出版社刊)など。

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ジョン・キム

'73年韓国・大邱生まれ。19歳で日本へ国費留学し、ハーバード大、慶應義塾大など世界の大学を渡り歩く。組織に縛られない「ノマドワーカー」の代表的存在として注目を集め、社会人版「キムゼミ」には多くの人が詰めかける。『媚びない人生』(ダイヤモンド社刊)、『来世でも読みたい恋愛論』(大和書房刊)など著書多数。
 

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