ラグビー日本代表はなぜ躍進できたのか?ジョーンズ氏のコーチングに見る2つの神髄

投稿日: 2015年10月20日 17:00 JST

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ラグビー日本代表の躍進が止まりません。昨年はテストマッチで11連勝を記録し、一時、世界ランキングも過去最高の9位に。そして今回のワールドカップでは強豪南アフリカやサモアに快勝し、その実力が本物であると世界に証明したのです。ちなみに日本のワールドカップ通算成績は1勝2分21敗。唯一勝利したのは、91年の第2回大会でのジンバブエ戦。以来24年、日本は勝ったことがありませんでした。この数字からしても、今回の躍進がいかに凄いかがうかがえます。

さて日本代表の快進撃を支えた要因にはさまざまなものがありますが、やはり何といっても一番の原動力となったのは12年に日本代表ヘッドコーチに就任したエディー・ジョーンズ氏の存在ではないでしょうか。ジョーンズ氏は就任当初から「JAPAN WAY」という日本独自の戦い方を掲げてきました。本稿ではそのコーチングの神髄を、2つ取り上げたいと思います。

第1に「日本一ではなく、世界一」という目標の再設定です。「以前の日本代表は自分の限界を挑戦する前に決めつけてしまう悪い癖があった」とジョーンズ氏はあるインタビューで指摘しています。 限界は事前に設定するものではなく、自分が最善を尽くした結果として最終的にたどりつくものです。我々は、過去の自分の実績や力量に基づいて限界を決めつけてしまいがちです。しかし未来の自分は過去の連続線上にあるものではなく、現在の自分も過去と決別して未来のありたい姿へ変身する可能性を秘めています。その可能性を限りなく具体的に描き、日々全力を尽くすことで、過去の自分では想像もつかなかった未来の自分に到達することができるのです。

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日本一で満足していた選手たち、言い換えれば自分の可能性を過小評価していた選手たちのマインドを世界一に向けさせたのが、ジョーンズ氏の貢献の1つです。そのため彼は選手たちに自信を植えつけました。自分への信頼が高ければ高いほど、人間は目標設定を高くできます。実際、今回のテレビ中継を観ても、巨漢の外国チームの選手にまったく怯まない日本代表を確認できました。自分の潜在的な可能性は、自分ではなかなか見えないものです。しかしジョーンズ氏のような偉大な指導者によってその可能性が開花するケースがあることを、今回確認できた気がします。

第2に「JAPAN WAY」「モダン武士道」という戦い方の採用です。我々はつい他者と自分を比較します。すると他者に劣るところだけが目につき、劣等感や無力感や絶望感を感じるのです。特にラグビーのようなスポーツは、力が物を言う部分が多分にあります。しかしジョーンズ氏は「体が小さければ小さいなりのメリットがある」と考え、それを徹底的に追求しました。具体的にはパスの回数を増やしスペースを作るという「JAPAN WAY」と、武士のような規律を徹底しながら科学的トレーニングをするという「モダン武士道」を取り入れたのです。日本人の小さな体格という自分ではどうしようもない部分は素直に受け入れ、それに基づき最善の戦略を構築する。そうすることで一見弱点に思えるものでも、長所に生まれ変わることがあるのです。

ないものねだりをするのではなく、すでにあるものに感謝し、それを戦略的に活用することで可能性を最大化する。こうした独自の戦い方を構築できたことが、ジョーンズ氏率いる日本代表の躍進を支えた要因ではないかと思います。4年後の19年には、ワールドカップの日本開催が決まっています。そのとき「JAPAN WAY」が世界を制覇する姿も、もはや夢ではない気がします。


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吉本ばなな

1964年東京生まれ。’87年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。’88年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、’89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で山本周五郎賞、’95年『アムリタ』で紫式部文学賞、’00年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞をそれぞれ受賞。海外でも多くの賞を受賞し、作品は30カ国以上で翻訳・出版されている。近著に『鳥たち』(集英社刊)、『ふなふな船橋』(朝日新聞出版社刊)など。

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ジョン・キム

'73年韓国・大邱生まれ。19歳で日本へ国費留学し、ハーバード大、慶應義塾大など世界の大学を渡り歩く。組織に縛られない「ノマドワーカー」の代表的存在として注目を集め、社会人版「キムゼミ」には多くの人が詰めかける。『媚びない人生』(ダイヤモンド社刊)、『来世でも読みたい恋愛論』(大和書房刊)など著書多数。
 

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