アドラー心理学から考える「劣等感」との上手な付き合い方とは

投稿日: 2016年06月09日 06:00 JST

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そろそろ梅雨の時季ですが、湿気も少なくカラッとしていて過ごしやすい日々が続いています。こんな時季は、読書に最適です。そこで今日はベストセラー『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)などで有名になったアドラー心理学について考えたいと思います。アドラー心理学では「人間のすべての悩みは人間関係からくる」とみており、なかでも「劣等感」が生まれる原因と解消法を提示した理論です。みなさんは、普段の生活で劣等感を感じたことはありませんか。人間は人と人の間に生きる社会的存在であるため、他人と比較することで自分というものの存在価値をはかろうとします。そこで相手が自分より優越的な存在だと判断したときに、劣等感を感じるのです。

劣等感のすべてが悪いわけではありません。ときには、私たちが何かを追求するモチベーションになることもあります。たとえば自分に身体的な弱点があると感じたり、感情を上手くコントロールできず苦しんだり、または人間関係が上手くいかず職場や交友関係でトラブルが続いたり、さまざまな場面で劣等感を感じることがあると思います。人はそれを克服するため頑張ろうとするし、実際、努力によって解消することも可能でしょう。しかし、もし失敗すれば永遠にトラウマのようになってしまうこともあります。

劣等感はすべて「比較」から生まれます。比較対象が自分より「上」だと感じた瞬間、自分自身は何も変わっていないのに「下」だと思い込んでしまう。そこで初めて出てくるのです。ただ劣等感の原因となる「比較」にも、正当化されるべき形があります。それは、「昨日の自分と今日の自分」との比較です。昨日より成長した自分を作ろうというのは、とても健全な比較といえます。劣等感も同じで、理想的な未来の自分からすれば今の自分は劣等感を感じるでしょう。しかしだからこそ「理想の自分になるために努力していこう」という形で劣等感を捉えると、わくわくしながら頑張っていけるはずです。

「自由に生きていく」ということは、嫌われる可能性があるということです。私たちがまわりの全員を好きになることは不可能。同じように、他の人が私たちを嫌いになることは十分考えられますし、それが普通です。つまり自由な社会を生きる私たちは自由に生きていく分、「他者から嫌われるというつけを支払う覚悟」を持つ必要があるということ。みんなから好かれるために頑張らなくていい。嫌われてもいいのです。「嫌われたくないからやる」という考えから一刻も早く抜け出すこと。そういう意味で、アドラー心理学では「真の自由とは、『嫌われる勇気』を持つことだ」と言っているのです。

そこで必要になってくるのが「課題の分離」と呼ばれるもので、自分の課題と相手の権限を分離するのです。たとえば相手が私にどのように評価を下すかはその人の課題で、私の権限の範疇にはないといった具合です。だからといって、ひとりよがりになっていいわけではありません。人間は今よりも良い状態になるべく、より完成度の高い方向へ努力をする存在です。また利己主義でいるだけでなく、社会的な存在としても生きていくものです。アドラーは言います。「人が苦しみから抜け出す方法は、ただ1つ。それは他人を喜ばせることである」と。自分が他人のために何をできるかを考え、実行する。そうすれば人間は、その瞬間から幸せになれるのです。自分自身の意思を持ち、自立していながらも他者に対する感受性を持ち、思いやりや愛を持って生きていく。それこそが理想の人生ではないかと思います。

 

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ジョン・キム

'73年韓国・大邱生まれ。19歳で日本へ国費留学し、ハーバード大、慶應義塾大など世界の大学を渡り歩く。組織に縛られない「ノマドワーカー」の代表的存在として注目を集め、社会人版「キムゼミ」には多くの人が詰めかける。『媚びない人生』(ダイヤモンド社刊)、『来世でも読みたい恋愛論』(大和書房刊)など著書多数。
 

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